一匹の悪役の話 (ページ1)

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序章ページ1

アリエル？？

アリエルどこ？？

どこにいったの…？

いつもの秘密の空間
アリエルと私の憩いの場
いつもと同じ光景なのに、アリエルだけがそこにはいない

寝坊したのかもしれない
王様につかまってるのかも
可能性はいくらでもあるはずなのに

この嫌な予感はなに？

私はその嫌な予感から逃げるように飛び出した

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『アリエル！！アリエル！！』

サメは海の嫌われ者
アリエルと仲良くなった後も、あの空間以外でアリエルを呼ぶことはなかった
迷惑をかけるから

でも今は
呼ばなきゃいけない気がする

必死になってアリエルを探す私を怪訝な目で見る海の者達
そんな目線も気にならないほどに、私は得体の知れない不安に焦っていた

「よう、忙しそうだな」

『！』

人気のない所にまで探しに向かった時、ふいに声をかけられた
急な呼びかけに思わずヒレを止める
声のした方に勢いよく振り向くと、そこには気だるそうな目つきの悪い顔

『…エイトフットのジョー…』

「探し物か？俺も手伝ってやろうか」

『…魔女の手下に手伝ってもらうことなんかない…余計なお世話よ』

「へっ、そうかよ
…あぁそうだ…いいこと教えてやるよ…」

彼の覇気のない薄暗い目が私をとらえる

嫌な予感が膨れ上がって

「お姫様はな地上に行ったぜ」

胸の内で弾けた