4話 ページ5
「ヴィランズ ワンポイント講座ァ?」
間の抜けたジョーの声が広間に響く
かくいう私も中々に間の抜けた顔をしていることだろう
全く聞きなれない単語
ちらりと周囲を見渡してみるが、誰一人としてピンときたという顔の者はいなかった
そんな中、自信のみを表情に映し出した女性…Ms.ヴィーラが大きな身振り手振りで話を続ける
「そーよワンポイント講座!あなた達昨年の活動でリクルーティングしたはいいけど、まだまだ垢抜けない人間達ばかりじゃなぁい?
そ!こ!で!」
ずいっとMr.Vの近くに顔を寄せるヴィーラ
ミスターの表情は更に深く嫌悪の色を浮かばせる
「ヴィランズ界のファッションを指導する為に!私とこっちのMr.ポライトが派遣されたのよ〜!」
「…で?リクルーティングはどうするんだ?」
頬杖をついたダルメシアが問い掛ける
私達はリクルーティングのために召喚されているのだ、疎かにする訳にはいかない
その質問を聞き取り、ミスターがごほんと咳払いを一つ鳴らした
説明してくれるらしい
「…各々のマスターからは“複数を上手くこなしてみせよ”とのお達しを頂いている
何のことかと思ったが…まさかお前とは…」
「そ〜いうことよぉブイブイ
つ、ま、り!リクルーティングと講座は交互に行ってもらうわぁ
そして!ここが重要!」
びしっ!!と効果音がつきそうな勢いでヴィーラの指が立てられる
元気ね、あの女性
「双方ともに、2人ずつ!出演してもらうわよ!」
『えっ、6人じゃなく?』
思わず口にしてしまった疑問にヴィーラが目を輝かせ私の前に立つ
勢いにたじろぐ私の手を取ると、そのまま熱弁を続けた
「聞けば休みもあまりなかったらしいじゃないの!マスターからの業務に加えて慣れない地上での仕事!あぁ可哀想に!!」
『いや、別に大したことじゃ』
「今年は2人体制にして負担を減らしてあげるわ!
そのかわり…」
パンッ
乾いた彼女の手の音が響く
「手の空いた者は私のモデルになってもらうのよ!」
要するに一方的に恩を押し付けて都合よく私達を利用したいらしい
素直にそんなお願い聞くタイプがここにいるとは思わないけれど、彼女の勢いに負ける手下なら何人かいそう
今後の苦労を想像し、深い深いため息が漏れた
「特にあなた、素敵なスタイルしてるわねぇ?
金の生地が映えそうでとってもいいわぁ」
…どうやら他人ごとではないらしいわね
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くるる(プロフ) - うわぁぁぁぁ!!新章楽しみがすぎるぅ〜!!!ミスターも好きだし空気感に安心感すごいし!!好きー!!! (2018年12月4日 11時) (レス) id: 80c54374bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うぐいす | 作成日時:2018年11月23日 18時