そして、二ヶ月後 ページ9
そして時は流れ、ついに約束の期間が過ぎ去った。
｢キルア君、ゴン君。今日から二人がズシと共に修行することになります｣
押忍！という威勢のいい声を横目に、ウイングはゴンへと話しかける。
｢ゴン君、この二ヶ月間、よく約束を守りましたね｣
｢誓いの糸のお陰です。｣
そう言うゴンは、何度も誘惑に負けそうになった。
しかしそれでも、その指に絡まる糸を見るたびに自然と心が落ち着いてくるのだという。
｢そういう念を込めましたからね｣
｢ホント!?｣
噓ですけどね、と平然と返すウイングに若干呆れ気味なリーファ。
しかし、キルアの脳内には別の疑問が浮かんでいた。
｢…でもさ、何で約束破ってないって分かったんだ？｣
まぁ、当然だが。
ウイング曰く、意図が切れていないからという。
｢ひとまずゴン君、久々ですが纏をやっていただけますか？｣
｢あ、うん｣
一つ深く息を吐き、オーラを全身に留めていく。
それは久々のものとは思えない程綺麗に、淀みなく流れていた。
自然に、それでいて以前よりも力強く。
｢真面目に毎日纏を続けたお陰ですね。さぁ、左手を見てみなさい｣
｢…？あっ！｣
ゴンの左の小指。
今まで風呂場でいくら擦っても千切れなかった糸。
それがいとも簡単に切れていた。
｢ゴン君が念を使ったら切れるようにしておいたんです。私の念で｣
｢そんなことも…｣
念の力は侮れない。
どんなことでも、やろうと思えばできてしまうのだから。
そのことを再認識した一同であった。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2023年1月22日 13時
