リーファの自室 ページ43
翌朝。
朝食を取り、今日は自室でゆっくりすることにした。
｢ん……さて……｣
軽く伸びをし、ストレッチを始める。
その間にもAは部屋を歩き回っていた。
ふと部屋の机に飛び乗ったところで、何か小さな硬い物が身体に当たり、そして落ちた。
カシャッと軽い音を立てたそれに、二人してその正体を確かめようと見下ろす。
そこにあったのは、上が赤、下が白のカプセルのような球体。
それはAにとって酷く見覚えのある物であった。
『……モンスターボールじゃねぇか!?』
｢わっ……急に大きな声を……｣
唐突に声を上げたAにリーファが驚くが、Aにとってはそれよりもこの目の前にあるモンスターボールが重要なのだ。
｢……｣
｢……それが気になるんですか？｣
それをつんつんつつくAの様子から察したのか、リーファがボールを持ち上げる。
｢……懐かしいですね……ふふっ、私の大切な物なんです｣
愛おしげにそれを撫でる彼女からも、それが大切な思い出の品であることが伺える。
｢私の大切な人……まぁ、今はどこにいるかはわからないですが……｣
｢……ぶ｣
｢……それでも、あの人と私を繋いでくれた物なんです｣
……あの人。
出発前に話した通りであるなら、恐らく……
｢……？ A？ どうして笑っているんです？｣
｢……？｣
どうやら気づかないうちにニヤけてしまっていたらしい。
……でも、もし彼女が本当に自分に好意を向けてくれていたのなら……
それだけで嬉しくなってしまうものである。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2023年1月22日 13時
