帰還 ページ29
｢お疲れ様！｣
｢おつかれー｣
｢ふぅ……ありがとうございます｣
試合を終え、部屋に戻ってきたリーファをゴンとキルア、あとAが迎える。
二人とも見事に纏を行っているままだ。
｢凄かったよ！リーファってあんなに強かったんだ！｣
『だろ、リーファは強いんだ』
｢恐縮です｣
興奮した様子で褒め称えるゴンに、まるで自分のことのように誇らしげなドヤ顔をするA。
その二人を置いて、リーファは話を切り出した。
｢……私、そろそろここを降りようかと思ってます｣
｢……え？｣
真剣に言うリーファにどういうことだとキルアが問い詰める。
｢……もう、目標であった資金稼ぎも終わっていますし……それなら、ハンターとして本来の仕事を行いたいと思ったんです｣
｢……そっ……かぁ……｣
非常に残念そうにするゴンだが、すぐに頭を振った。
｢ううん、リーファが決めたことなんでしょ。だったらオレも応援するよ｣
｢あぁ。オレ達結構助けられたしな、笑顔で送り出してやらないと駄目だろ｣
｢ありがとうございます｣
ぺこりと腰を折り、お礼を述べるリーファ。
そんな彼女に、キルアは真剣な表情で問いかけた。
｢……なぁ、リーファ｣
｢はい？｣
｢……俺たちも、あんな風に戦えるようになるのか？｣
その問いに、リーファは微笑んで答えた。
｢……努力次第、ですね｣
｢そうか……これでもオレら、随分強くなったんだ。｣
｢はい｣
｢もう練もちゃんと出来るし、今度は無理しない！｣
｢どっかのお馬鹿さんみたいに重傷負うような真似は絶対しねーよ｣｢ぅ……｣
自信を持って、しかし過去に痛い目を見たからこそ油断せず。
競い合いながら己を高めてきたのだろう。
｢……はい｣
｢だからさ、明日のオレ達の試合は見ててくれよ！｣
それは、最後にここを去る仲間への送り出しと、恩返し、そして特訓の成果をきっちり見せるため。
その申し出に、リーファは笑顔で頷いたのであった。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2023年1月22日 13時
