決着 ページ28
汗をだらだらと流しながら、リーファはヒソカに向き合う。
｢……一応訊くケド、それは自分で止められるのかい？｣
｢……まぁ、そうですね……｣
｢ふぅん……まぁ、いっか♠️｣
本当なら、ヒソカは逃げ回りリーファの消耗を待てば勝てる。
だが、今回はそうしなかった。
理由？
そんなものはない。
ただの気紛れ、それだけだ。
｢はっ！｣
リーファがその場に残像を残し、跳躍する。
それを追うようにヒソカも宙に躍り出た。
｢っ、ずあっ！｣
振るわれた炎の剣を、壁に向かってオーラを飛ばして収縮させることで回避する。
左手に二本の剣を抱えて即座に種を撃ち出してきたリーファに対し、ヒソカは無数のトランプを投げて応戦する。
切り裂き、へし折り、反らし合う。
飛び道具の応酬を先に切り上げたのはヒソカの方だった。
固く握られた拳がリーファに迫るが、即座に炎を振り払い防御する。かと思えば、跳ね上げられたリーファの足がヒソカの肘に防がれる。
｢速いね♥️｣
｢っ、どうも……！｣
余裕を失いヒソカと切り結ぶリーファに向け、不意にオーラが飛ばされた。
｢……！｣
普段なら即座に対応出来たはずのリーファは、ヒソカとのやり取りに意識を割きすぎてしまった故に反応が遅れ、再三剣を奪われる羽目になってしまった。
｢光を受けることで強化される……実に面白いけど、太陽が出てないと無意味だね♣️｣
振り抜かれる腕、空を飛ぶ剣。
勝利を確信したヒソカだったが……
……否、既に決着はついていた。
問題は……
｢クリティカル！ツーポイントリーファ！
クリーンヒット&ダウン！ツーポイントヒソカ！｣
最後の最後、ヒソカの拳がリーファに刺さったのとほぼ同時。
リーファの手には、取り上げたはずのリーファの剣が握られていたことだった。
そして、リーファを撃ち抜いた拳が振るわれた普通のままの剣に切り裂かれ、大地に落ちたのだった。
｢……やられたね♦️｣
｢っ、くぅ……届きませんでしたか……｣
ふらふらしつつも立ち上がるリーファは間違いなく負けた。
だが、後一歩のところまでヒソカを追い詰めたことは、紛れもない事実なのであった。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2023年1月22日 13時
