痛み分け ページ24
｢っ…痛い…｣
攻撃にオーラを割いた分、リーファが受けたダメージもまた大きい。
立ってはいるが、退けられた腕の下は真っ赤に腫れてしまっていた。
｢凄いね…♥️何の躊躇いもなくカウンターを…くっくっくっ…｣
奇妙な笑いをするヒソカに対し、リーファは見た目以上に余裕が無かった。
冷や汗を浮かべ、一本になった剣を両手で構える。
｢あぁ…でも、終わらせるのがちょっと惜しいなぁ…｣
｢私はかなり厳しいのですが。早急に終わらせたいです｣
｢そうか…残念だ♣️｣
再びヒソカがトランプを手に持ち、その直後大量に投擲した。
｢！“新芽の春”！｣
即座に撃ち落とし、距離を詰めにかかる。
一気に跳躍した彼女はまさしく弾丸のようにヒソカに迫った。
ヒソカは早めに跳び、振り払われる伸びる斬撃を回避する。
即座に展開されたトランプを切り払った勢いそのままに薙ぎ払い、一刀両断して後を追う。
そしてリーファは、そのまま剣を後方に構えた。
｢…！まさか…この距離でも…!?｣
その瞬間、ヒソカは身の危険を察知した。
このままではほぼ間違いなく斬られる。
その射程がどれほどかはわからないが、リーファが斬撃の態勢に入ったということは届くのかもしれない。
なら取るべき行動は回避一択である。
｢くっ…！｣
その右足から会場の観客席目掛けオーラを伸ばしくっつけ、即座に収縮させる。
これによりヒソカはリーファの剣の範囲から逃れたが、その直後にリーファが構えを解いて走ったのを目の当たりにした。
｢…剣はこれで再度回収、ですね｣
｢…！ブラフ…！か♠️｣
トリックなんて物はない、至ってシンプルな心理戦。
先程までわリーファはヒソカに『伸びる剣』の『容易く腕を斬り落とす程の威力』を見せつけていた。
だが、『どれ程リーチがあるのか』、それについては一切わからない。
もしかしたら、ここまで届くのかもしれない、そう思わせるには十分な未知と脅威がそこにはあった。
故に、ヒソカは退いた。
そして、その真偽を明かさなかったリーファは、もう一度この読み合いを行える。
無知こそが脅威となる、念能力者同士の戦いの常識なのだった。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2023年1月22日 13時
