最後まで、落ち着いて ページ33
大きく唸ったそれは体を振るわし、その両腕を持ち上げた。
血の滴るその体が、みるみるうちに大きくなっていく。
「…こいつは…想像以上だな…」
異様に膨れ上がる体と魔力を目の当たりにしたマールドが冷や汗を浮かべる。
まだこの程度なら対応は容易いが、問題はその性質にある。
辺りを腐食させるそれはあまりに危険だ。
急いで始末せねばならない。
「フール!あともう少し頼むぞ!今はお前が頼りだ!」
「わかってる。【大地の揺篭】」
大きく振り上げ、叩きつけられた大斧。
それは大地を広くひび割れさせ、その巨体ごと地面を陥没させた。
通常の約八倍もの筋力を誇るフールだからこそ成せる豪快な技だ。
「埋めたよ」
「よーしよくやった。出来る限り魔力撃ち込んでくぞ!」
それを見下ろすマールドはその両手に魔力を結集させる。
そしてそれに触発され東矢も銃を構え魔力を溜めていく。
魔力が高まり、ほんの僅かな静寂が訪れた刹那、二人から大量の魔法が放たれた。
「…!…!」
抵抗すら許されず、ただその身が穿たれることをただ悲鳴を上げて見守ることしか出来ない。
必死に狭い穴の中で暴れることを試み、その体液を散らそうとするが、狭すぎる土の壁がそれを拒む。
「…キリがないな…いくら無抵抗とはいえ…」
そう、ダメージは入っているようだが、やはり何発撃っても致命傷になることはない。
今いるメンバーでは、このブラッドゴーレムを封殺することはできても、肝心の止めを刺すことができない。
「…おいどうすんだ?一生かかっても終わらんぞ?」
「…まぁ落ち着け。策は用意してあるって」
やや焦りを浮かべていた東矢だったが、マールドに諭される。
時刻は既に太陽が沈んでしまった夜。
上空には暗雲が見えている。
「っ、だが…どうすんだ?」
まだ焦りを浮かべる東矢。
その問いかけに答えたのは、マールドではなかった。
「しょうがないわね…来てやったわ」
仄かな月明かりの下、駆けつけてきたのは雪のように白い肌を持つ紅き目の少女。
ワイドであった。
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クロロフィル@リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますね! (2023年1月14日 20時) (レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2022年12月29日 21時