友の理由 ページ15
暫く茫然として考え込んでいた東矢だが、ひと思い返せば今すべきことがあることに気が付いた。
「…なぁ、アルマ」
「えっ…な、何…ですか…?」
「…お前は、なんで魔王側についてるんだ?」
ずっと気になっていた疑問をアルマにぶつける。
始めて対峙した時から、彼が四天王の一角でありながら魔族の者でないことに酷く違和感を覚えていた。
「え、えと…」
「何故だ?何でお前は人間なのに魔王に味方するんだ?」
暫く言葉に詰まっていたアルマが、ようやく口を開いた。
「…守りたかった、から…」
「…え?」
微かに耳に届いたのは、守りたいから。
何を、と訊く前にアルマが続けた。
「…僕の大事な家族。今は二人で暮らしてるの」
「…おう」
「…生まれてからずっと、病気抱えてて…いじめられてて…あんまり人目につかないとこがいいって、二人で住んでたの」
…奇病、という類のものであろうか。
見た目的なものなのかは分からないが、気味悪がられて精神を病んでしまった可能性は十分に思いつく。
…周りと大きく違うということは、それだけ目立つ。
それだけでなく、気味悪がられたり、妬み恨みの感情をぶつけられたり、あるいは周囲との違いで劣等感に悩まされたり。
…どれもこれも、勇者として人外みじた力を持つ東矢には痛いほどわかる。
「…それで、魔王の奴に頼み込んで守ってもらってる、ってことか?」
「…そうだけど、ちょっと違う」
やや否定されたことに驚きつつも、その話を聞いていく。
「…マールドさんの方からね、来てくれたんだ」
「へぇ?そっちからじゃないのか」
「うん…あの人が、二人で暮らしてた僕たちを見つけて保護してくれたの」
アルマ曰く、二人が平穏に暮らせてかつ不自由なく生きられる環境を用意してくれたのがマールドだったらしい。
「…何か、狙いがあったのか?」
何か裏があってその行動をとったのかと聞くが…
「ううん、ただ困ってたのが見過ごせなかったんだって」
「…アイツを疑った俺が馬鹿だったか…はぁ」
「えっ」
何か失言をしてしまったかと狼狽えるアルマを他所に、額に手を当て天を仰いだ東矢であった。
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クロロフィル@リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますね! (2023年1月14日 20時) (レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2022年12月29日 21時