魔物食 ページ41
一先ず要警戒という結論で幕を閉じた一連の事件以降、東矢は普段通り仕事をこなしながら生活していた。
「草薙さん、櫛肉いかがどすか?いつものお礼です、是非とも食べていってくだせぇ」
「えっと……いいのか?」
魔物の中には美味しく食べられるものも存在している。
基本的には理性を持たない下級の魔物が殆どで、例えばラージボアのような猪型、あるいはスモールベアなどの熊型の魔物が人気である。
魔物が魔物を食べるのはどうなのかと聞いたことはあるのだが、他の種族を襲って食べるのは自然の摂理であり、食物連鎖が生態系のバランス維持に繋がるため特に何も感じていないとのこと。
なお本当に何も感情を抱かない訳ではなく、マールドが魔王になってからは食事の一つ一つに感謝の念を込めていただくような習慣がついたとのことだ。
「折角手に入れた貴重な食事ですから、いつものお礼に皆で食べましょう」
「そうか……なら、ありがたく貰うか」
因みにまだ調理方法はあまり発達しておらず、今のところは焼く、煮るが中心で味付けも塩のみの淡白なものだ。
少しずつ揚げ物なんかも普及しつつはあるようだが、やはりまだまだ焼き肉は健在である。
熱々の肉の断面は見事に焼き色がつき、唾液腺を刺激する。
「いただきます、と」
ようやく慣れてきた食事前の挨拶を済ませ、肉にかぶりつけば、口の中に濃厚な肉汁の旨味が溢れだしてくる。
「旨いなぁ……」
しみじみとその味を堪能する東矢。
それを見た魔物達もそれぞれに嬉しそうな表情を浮かべる。
一人旅では知らなかった、誰かと一緒にする食事。
ただ隣に誰かがいるだけでここまで食事が美味しくなるのかと、感心しつつ食べ進めていく東矢だった。
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クロロフィル@リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますね! (2023年1月14日 20時) (レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2022年12月29日 21時