うちの子達で魔王パロ

プロローグ ページ4

ギギギ…

やや耳障りな音を立てながら、重厚な扉が開く。
いかにも玉座の間に繋がっていそうな大きく立派な扉。

その先に待っていたのは、やはり玉座に座りこちらを見つめる魔王であった。

｢…まさかこんなところまで来るとは、な。勇者東矢さんよ｣
｢…魔王マールド、今ここでお前を討つ｣

東矢の使命、勇者として背負った宿命。
魔王を討ち、世界の平和を保つこと。
その為に、東矢は銃を構えた。

｢まぁ落ち着け。まずは…そうだな。まずはお前さんを褒めようか。
よくもたった一人でここまでたどり着いたもんだな…大したもんだよお前さんは｣
｢…やけに素直だな？何が目的だ？｣

疑いの眼差しを魔王へと向ける。

｢いや…そうだな…戦う前に一つ頼みたいことがあるんだが…｣
｢…世界の半分をやるから配下になれと？断る｣

勇者の意志は固い。
その平和を願う心はちょっとやそっとでは崩れることはない。



















…のだが。

｢あーいや、そういうことじゃなくてだな…｣
｢…は？｣

帰ってきたのは否定の言葉。
思わず言葉が出てこなくなった。

｢…はぁ…｣

魔王は大きく溜息をつき…本題を切り出した。

｢…頼むからこいつらなんとかしてくれ…｣

彼の指さす先にあったのは…

｢あーーーーっ!!負けたああああああああああああああああ!!｣
｢完全に僕の勝ちだ!アーッハッハッハッハ!!｣
｢負けちゃったねぇ〜｣

…何故か玉座の間に座り込んで…何か騒いでいる者達。

｢…巧？ソーラ？フール？｣

｢血！血！血飲ませてちょうだい！｣
｢やだ…助けて…！｣
｢ちょっとワイドさん！やめてください！｣

白髪赤目の少女に追い回される銀髪のオッドアイの少年、それを止めにかかる桃髪に紫の目の少女。

｢アルマ…？ワイド…？オシスト…？｣

そして少し遠くを見れば、壁に寄りかかってこちらを見守る緑髪の女性にオレンジ色の魔獣。

｢リーファ…フレア…？｣

誰も彼も、ここまでの旅路で倒してきた魔王軍の幹部だ。

｢…はぁ…？｣
｢…頼むからこいつらなんとかしてくれ…｣

そこには、心からの疲労と怒りが込められていた…

｢…は…？いや…はぁ…？｣

暫く東矢には声も出せない状況が続いたのであった。

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