神話の裏の、木漏れ日に。 (ページ9)

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【東矢】全てを察した二人【ケモノアフター】ページ9

あれから数日。

東矢と奏乃は買い出しに大型商業施設にいた。

｢さて……ご飯の材料も買いましたし……｣
｢そろそろ帰るか？｣

店の奥から戻って来る最中。
何事もなく帰ってこれる……はずだった。

｢……ん？｣
｢……んん？｣

二人揃って不意に目に留まったのは、一つのカチューシャ。
パーティ用の物で、犬耳と狼の耳がそれぞれ一つずつ売れ残っていた。

数日前の記憶が甦る。

東矢にとっては可愛らしく、奏乃にとっては一刻も早く忘れたい記憶。

冷や汗を垂らす奏乃が逃げ出そうとしたが……

｢……ぁ｣
｢あれも買おうな？｣
｢ひゃ、ひゃい……｣

東矢の無言の圧力(物理)の前には抵抗できず押しきられてしまう奏乃であった。

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｢んじゃ、着けてくれ｣
｢っ、う……｣

帰宅、そして即座に包装から外して奏乃に犬耳を差し出す。
小さく垂れた可愛らしい耳だが、奏乃は受け取っても着けようとはしない。

｢……や、です｣
｢ん？｣
｢東矢も着けてくれなきゃ！嫌です！｣
｢じゃあ着ける｣
｢……｣

顔を赤くして精一杯の抵抗を試みるも、あっさりと受け流される。

そうして東矢はふと奏乃の方を向き、言い放った。

｢んじゃ……今夜は遠慮なく行かせてもらうぞ？｣
｢あ……ふぁ……｣

……彼女は後に語った。

あれは間違いなく獲物を仕留める狼の眼であったと。