神話の裏の、木漏れ日に。 (ページ8)

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【東矢】新たな黒歴史【メイドアフター】ページ8

｢なんでや！別にそんくらいえーやろ！｣
｢良くねーわ！｣
｢先っぽだけ、ホンマ先っぽだけでええから！｣
｢先っぽってなんだよ！｣

アパートの一室で、怒号と必死な声が飛び交う。
東矢の部屋に押し掛けてきた美冬は、東矢から何かを聞こうと詰め寄る。

｢どうしたのー？｣
｢ぅ……お、落ち着いて……ね……？｣
｢むう……｣

騒ぎを聞きつけやってきた犬斗とアルマに押さえられ、美冬は不服そうに唇を尖らす。

｢しゃあないやろ！東矢が奏乃ちゃんと一緒にボロボロになって、しかも二人揃ってメイド服着込んでたんやで!?｣
｢おい美冬｣
｢気になって気になってしゃあないわ！おちおち昼寝もできへん！｣
｢夜はー？｣
｢寝る！｣
｢えぇ……って、メイド服……？｣

その引っ掛かる言葉に東矢の方を見れば、バツの悪そうに顔を反らす。

｢えーと……そんな趣味あったの……？｣
｢違うっつってるだろ！｣

顔を真っ赤にして机を叩く。
しかし机は、コッ、という軽い音を立てるばかりである。

｢第一！あれは美冬から持ってきた案件だろうが！｣
｢あれ？せやったっけ？うち覚えてへんわー……｣
｢責任を逃れようとすんなって！｣
｢あ、あはは……｣

舌を出し、全くもって反省の意を見せない美冬に、東矢はただため息を吐くことしか出来なかった。

｢えーと……うん。ど、ドンマイ……？｣
｢やめろ。そんな優しい目で俺を見るな……｣

一生クラスの黒歴史を複数生んだのも、全てはニャルラトホテプとかいうクソみたいな邪神の仕業なのだと、東矢は向ける矛先のない激しい怒りを抱えることとなったのだった。