神話の裏の、木漏れ日に。 (ページ28)

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【マールド】悪友と恋人との一幕【悪友アフター】ページ28

疲労困憊の身体にムチ打ち、マールドはようやくオシストの待つホテルへと辿り着いた。

｢疲れた……ただいま……｣
｢どこ行ってたんですか!? いきなり『ホナツと外行ってくる、暫くホテル空ける』ってくるから心配したんですよ！｣
｢すまん……｣

当然ながらオシストの怒号が飛ぶ。

それもそうだろう、連絡一つだけして、友人の女性と夜にホテルを飛び出したのだから。

｢相手はあのホナツさんとはいえ……不安にもなりますよ……｣
｢本当にすまん……｣
｢はぁ……何があったんです？｣

不安そうな顔が安心の一色に染まり、穏やかな笑みに変わる。

｢ホナツが狂人に襲われててヤバそうだったしなんか巻き込まれたから一緒に逃げてた｣
｢すみません易々と私の脳の容量を埋め尽くさないでくれますか？｣
｢そしたらクトゥグアとかいう炎を信仰してる教団に突っ込まされて、なんか変な奴らが燃えてるとっから二人で逃げてきた｣
｢？？？？？｣

マールドはただ事実を述べただけである、それも随分簡略化しているが。

｢……要はほぼ関係ないのに巻き込まれたアイツに関係ない僕が巻き込まれたな｣
｢二人ともとんだ災難でしたね……あはは……｣
｢お陰で二人とも死ぬとこだったわ、足が痛ぇ｣
｢“治癒”……もう、私のいないところで死なないでくださいよ……｣
｢多分ないから安心しろよ？｣

半不老不死の鬼となったマールドは、肩を竦めながらウインクしてみせるのであった。

｢はぁー本当無理尊すぎますぅ……｣

やっぱりオシストには効果抜群なのであった。