木漏れ日の差すアパートで (ページ44)

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節分ページ44

｢鬼はアアアアアアアアアアアア外ォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!｣

最早恒例行事と化した絶叫と共に大量の粒が飛散する。
それは何やら面を被った東矢目掛け全力投球なされる。

｢いって…物理ダメージが普通に痛いんだが｣
｢オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!｣
｢痛い痛い痛い！｣

大量に何かをぶつけられ悲鳴を上げる東矢。

彼がぶつけられているのは大豆。

そう、今日は節分。
鬼へ豆を撒き退散させ、福を呼び込む豆撒きが、今このアパートで行われている。

本来、このアパートの住人の多くが日本生まれではなく、節分文化を知るのは元々日本で暮らしていたマールド、そして彼から情報を受け取ったオシスト、日本でバリバリ学生生活を満喫している巧、出身が日本と同じ文化を持つ国だったアルマ、転生先で偶々日本に近しい文化に触れた東矢程度のものである。

まぁ、あとは普通に日本人として暮らす現実世界のクロロ程。

そしてなぜ彼らが今節分を、というかその他多くの行事を共に楽しんでいるかと言えば、それは単純にクロロや巧が面白そうだからという理由だけで布教しているから、ただそれだけである。

｢…ちょっと皆のとこで恵方巻食ってくるわ｣
｢お～行ってらっしゃぁ～い｣

ここでマールドが一旦離脱する。
自身の世界の友と楽しむためだ。

ちなみに巧はいない。
彼も今、友人と豆撒き(という名の超次元バトル)に熱中しているからだ。

残された東矢は、再び戻ったフールと、俄然として豆を投げつけ続けるソーラからの集中攻撃を喰らっていた。

｢痛いって…この野郎ー？｣

その痛みに堪えかねた東矢がとうとう切れ、投げられた豆が宙に静止する。

｢…あ｣

その光景に既視感を感じたソーラが見た、3秒後の未来。

…それは、あまりに無慈悲な超弾幕。

全力を以て放たれる、強烈過ぎるカウンター。

鮮明に想像できる未来は、ソーラとフールに凄まじいしっぺ返しとして襲い掛かった。

｢…ふぅ…あぁ…またやってるよ…｣

恵方巻を食べ終えたアルマが、横目に見て溜息交じりに呟いたのだった。