観戦者たちの呟き ページ40
ところ変わり、焦点は二重のバリアの中に包まれる観戦者たちへと移り変わる。
「…すごぉ…」
「格が…違ぇ…」
「なに、あれ…?」
「とんで…?星…?」
その殆どが、口を開けて呆然と立ち尽くしている。
今目の前で繰り広げられる戦いは、この場に存在する住民たちの殆どの次元を逸脱している凄惨なものであったからだ。
空を舞うように飛び交い閃光を放ち合いながら目に追えない程の超速でぶつかり合う。
その全てが、異次元。
ぽかんと口を開ける者が大多数を占める中、一部のその他に分類されるのは…
「ウソ、速い…!いつの間にあんなとこに…!?」
「すごぉ…あれは絶対追いつけないなぁ…」
顔を必死に動かし、その動きを捉えようと奮闘するソーラ、フール。
彼らの天性の反射神経を以てしても、残像を追うことしかできない。
そして、それを一歩引いて見守るのはオシストであった。
今この場にいるメンバーの中、唯一二人の動きを正確に把握している彼女が、感心したように呟いた。
「…まさかあのマールドさんと互角、いやそれ以上に渡り合うとは…恐ろしいですね…」
今まで戦闘において、マールドの右に出る者はいなかった。
その可能性を秘めた者は存在するものの、結局マールドに勝てたことはない。
本人曰く、まだまだ差がありすぎるということだったが、少なくともオシストの知る限りではそんな人間などどこにもいなかった。
…しかし、目の前の東矢は違う。
あの洗練された動きに、正確無比で強力な弾丸。
…一体どれほどの修行の末にここまでの力を手にしたのか。
そして、その力は本気のマールドをも上回りかけている。
少なくとも、現在の状況において二人の戦いは拮抗していた。
殴り殴られ、銃弾が掠り矢が削ぎ落とす。
「…凄いですね…」
そう呟く彼女の背後、扉が開かれた。
「おや、ここに全員いたんですか」
「あ、クロロさん!」
そこに入ってきたのは、何やら大きな箱をいくつも抱えたクロロの姿だった。
「…それって…?」
「あぁ、これですね。知り合いの所で作り過ぎてしまったらしく。
お裾分けされましたね、大量に」
そう言って開かれたダンボールの中にぎっしりと詰まっていたのは、地層のように重なる黄色いお菓子であった。
「おかしだー!」
「いただきま〜す」
「僕ももらった!」
早速三馬鹿ががっつけば、バナナの香りが辺りを支配する。
「…ねぇおねぇちゃん、これって…」
「…かんがえないようにしよ」
「あ…うん…」
何かを察した様子の二人だったが、結局山ほどあるので皆でいただくことにしたのであった。
試合観戦がお菓子のお陰で更に盛り上がったのは言うまでもない話である。
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロロフィル@深緑の指揮者/あるりーす(プロフ) - アゲハ??@ペテ神(初心者)#エタフェア?色担当さん» (*'ω'*) (2022年11月13日 17時) (レス) id: e7c7774a04 (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ??@ペテ神(初心者)#エタフェア?色担当(プロフ) - デデデデデデデート……… (2022年11月13日 17時) (レス) @page12 id: cce2e65e12 (このIDを非表示/違反報告)
ルーチェ(プロフ) - 全然おk クロロさんの動かすうちの子たちも見てみたいしね〜。 (2022年11月11日 16時) (レス) id: b38fd54f9d (このIDを非表示/違反報告)
クロロフィル@深緑の指揮者/あるりーす(プロフ) - ルーチェさん» 勝手にオリキャラ動かすけどおけ?() (2022年11月11日 16時) (レス) id: e7c7774a04 (このIDを非表示/違反報告)
ルーチェ(プロフ) - じー・・。(仲間になりたそうにこちらをみている!) (2022年11月11日 15時) (レス) id: b38fd54f9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:No.
作成日時:2022年11月5日 17時