木漏れ日の差すアパートで (ページ34)

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雪合戦ページ34

｢にしても…凄い雪だな｣

シャベルを白い雪に刺しこみながら東矢がぼやく。

｢んー、設定ミスったか？｣
｢おいそれでいいのか管理者さんよぉ…｣

あっけらかんとするクロロにマールドが呆れる。
そんな彼はバリアを用いて雪を一か所に集め、自前の強力な炎で溶かしていく。

｢便利だなーそれ｣
｢おう、こういうシンプルな魔法が一番応用利いて便利だな｣

マールドの魔法はいたって単純である。
ただ魔法で炎や雷を生み出すだけ。
しかしやれることの幅は非常に広い。小さく火を灯して暖を取ったり、微弱な電気を流してスマホを充電したり機械を動かしたり身体能力を強化したり、バリアで物を形作ったり足場にしたり。
マールドの器用さも相まって非常に柔軟な活用が出来ている。

と、雪を焼くマールドの後頭部目掛け何かが飛んできた。

｢おっと…｣

即座に反応しバリアで防げば、そこに弾けたのは真っ白な冷たい雪の塊。

｢あー、防がれたー！｣
｢チッ、もういっぱァつ！｣
｢いけいけぇ～｣

巧とソーラとフールにより、大量の雪玉が飛来する。

｢…はぁ｣

それを止めたのは、他ならぬ東矢であった。
その指をパチンと鳴らせば、マールドへ迫る雪の全てがその動きを止め、逆に巧らの方へと戻ってくる。

｢はあっ!?｣
｢ウソでしょ!?ぶっ!?｣
｢うわぁ～｣

咄嗟に飛び退いた巧。
しかし残った二人に次々と雪玉が直撃する。

また、雪玉の内当たらなかったものは何故か巧目掛けホーミングして襲い掛かる。

｢ちょっ!?多い多い！面倒くせぇ！｣

何とか躱すも、次第にそれは回避すら許されない程隙間のない弾幕へと進化を遂げていく。
見れば、東矢の付近に落ちていた雪の大半がなくなっているではないか。

｢…アンタも大概だぞ｣
｢そうか？｣
｢そうだよ｣

当たり前のように中々なことを仕出かす東矢に苦笑いを浮かべる。

その後やって来たオシストに三人が正座させられ、何故か東矢も巻き込まれ説教されるのであった。

｢…僕はいいのか？｣
｢マールドさんは防御しかしてないのでセーフです！｣
｢そ、そうか…｣