木漏れ日の差すアパートで

餅つき ページ29

新年を迎えた木漏れ日アパートにて、凄まじい咆哮があげられていた。

｢オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!｣
｢ハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッハイッ!!｣
｢はいぺったんぺったんぺったん〜｣

｢…うるせぇ…｣

巧とソーラが凄まじい速度で餅つきを行っており、その僅かな合間にフールが餅を混ぜる。
両者共に凄まじい迫力を見せており、ただの餅つきとは到底思えない。

｢…なんだかなぁ…｣
｢いや…












…杵と臼まで一人で全部やってるマールドさんがそれ言うの…？｣
｢…｣

この光景に軽く引いているマールドだが、そんな彼も傍から見れば超高速で、しかもワンマンで餅つきを遂行しているヤバい奴である。
しかも杵も臼もバリアで作ったものであり、中に小さく火の灯った臼が勝手に餅を整えているのである。

｢本当マールドさん器用ですよね…どうやってるんですかそれ｣
｢…自分でも何やってるのかよくわからねぇ｣
｢えぇ…｣

マールドは一体どこまで行くのだろうか。
そんなことを考えるうちに、続々と餅がつき終わり、出来上がっていく。

｢いただきますっと…うん、美味い｣
｢そうですね。初めて餅というものを食べましたが…非常に美味しいです。この…きな粉でしたか。それともよく合いますね｣

早速マールドとオシストが餅を一切れ口に放り込む。
まだ暖かくつきたてなので柔らかくて美味しい。

｢…お”っ”、ゴボッ、ゴボッ！｣
｢おい巧！そんな詰め込むな喉に詰まってんじゃねぇか！｣

一気に食べ過ぎた巧が喉に持ちを詰まらせ、苦しそうにむせる。
アホか？

｢…ってあー！ドボンしちゃったー！｣
｢あ〜、しょっぱいねぇ〜｣
｢…でもおいしい！｣
｢そっかぁ〜｣

ソーラは醬油へと誤って餅を落としてしまったようだがあまり支障はなかったらしい。
それを見たフールは適度につけて食べる。美味しそうだ。

｢…美味しい…久々だけどいいね…｣

アルマもおいしそうに頬張っている。
新年早々騒がしくもありながら、モチモチの餅を嚙みしめる一同であった。

｢…おいこれダルンダルンじゃねぇか｣
｢…つき過ぎちゃった☆｣
｢おい…｣

それぞれの正月→←或る少女の小話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す