木漏れ日の差すアパートで (ページ26)

今日:22 hit、昨日:3 hit、合計:5,128 hit

木漏れ日飯ページ26

さて、以前にこのアパートでの食事方式について触れたが、実はもう一つ存在している。

｢あら…今日も良いものが揃っていますね…｣

オシストが物色する物は野菜がたくさん並べられた棚。
そしてそのどれもが瑞々しい輝きを放っている。

｢えっと、今日は…シチューにしましょうか！｣

いくつかの野菜を購入し、持って帰る。

このアパートでは通貨は統一化されておらず、それぞれの世界の通貨を使って支払うものの、その金額はそれぞれの世界の平均よりかなり下の値段となっている。

と、部屋へ戻ったオシストが早速鍋を取り出す。

ジャガイモの皮を剝いて人参と共に切り、よくわからない野菜はマニュアル通りに下ごしらえを済ませていく。

｢…この野菜…一体どこで作られているのでしょうか…｣

そんな疑問を抱きながらジャガイモから茹でていく。
丁度やや柔らかくなってから人参を投入し、その合間に同じく用意されていた牛肉を炒めていく。

ほんのり色のついてきたところで茹で加減を確認し、肉を投入して暫く煮る。

｢灰汁を取って…あとは、味付けですね｣

一旦火を止め、沸騰が収まってからルーを投入して更に煮込む。

｢ん…牛乳も入れましょうか｣

コクの為にも牛乳を最後に入れて煮込めば出来上がりである。

｢…うん、我ながらいい出来ですね｣

軽く味見してその出来栄えに自画自賛する。
そのまま皿に盛っていき、炊いていたご飯もよそって完成だ。

｢本当はマールドさんと食べたかったのですが…あまりマールドさんの邪魔をするのも嫌ですし…｣

一人でシチューを掬い、口へ運ぶ。

｢…うん、美味しいですね｣

…と、このように、このアパートでは自分で食事を作って食べることも珍しくない。

マールドもその筆頭であり、仕事などで時間が少ない住人は特にその傾向が強い。
逆に巧やソーラ、フールは一切料理を作らない。

そもそも感覚派であり加減というものを知らないので大惨事を免れられないからである。

また、フレアはそもそも体の都合上作れず、アルマはあまり料理は得意ではない(出来ないとは言っていない)。
蘭と綾香はまだ子供なので危なく料理はクロロがさせていない。

なので現状料理をするのは実質マールドとオシストのみだが。

食事を済ませ、後片付けを始めるオシスト。
彼女の脳内では次に描くマールドの構想でいっぱいになっていたのであった。