木漏れ日の差すアパートで

馬鹿どもの日常 ページ21

｢マールド！野球しようぜ！｣
｢なんで急に…｣

巧がマールドに野球の誘いをかける。

｢いや？ただやりたくなっただけ｣
｢…人数足らないだろ馬鹿かお前は｣
｢あっ｣
｢おい｣

…流石にこの数ではまともにできないだろう。
一チーム作るのにさえ届かない数。

｢…じゃあ鬼ごっこな！｣
｢子供かて…いや高校生か｣
｢よっしゃ決まりな！公園集合！｣
｢あっおい！｣

勝手に約束を結び、公園まで一目散に駆け出す巧。

｢…はぁ…仕方ねぇ…｣

いつものパーカーに着替え、靴を履いて外へ出る。

｢…おや、外出ですか？｣
｢アイツらと遊びにいく｣
｢そうですか。お気をつけて｣
｢おう…｣

マールドが公園につけば、住民のほぼ全員が勢揃いしていた。

｢お、来たな｣
｢え…ホントにやるの…？｣
｢鬼ごっこ！鬼ごっこ！｣
｢マールドさん…お、お手柔らかに…｣
｢あそぶぞー！｣
｢…お、お願いします…｣
｢…はぁ…どっか行くなよお前ら！｣
｢｢｢はーい！｣｣｣
｢…何というか…遠足の引率の先生のような…｣

オシストが苦笑いを零す。

｢よーしじゃあマールド鬼な！｣
｢は？｣

｢｢｢｢｢逃げろーー!!｣｣｣｣｣｣

蜘蛛の子を散らすように走り去る一同。

｢…はぁ…やるからには…｣

足元に電撃を纏う。
バチバチとスパークし、そのままスタートダッシュの姿勢に入る。

｢全力でやらせてもらおうか｣

一瞬にして、マールドの姿が搔き消える。

迸る電撃の先にいたのは…

｢ちょっ、速ッ!?｣

巧であった。

所詮ただの一般人に過ぎない巧に躱す術はなく、あっさり捕まって鬼が交代する。

｢クッソ…絶対捕まえてやらぁ！｣

…その後、鬼気迫る表情の巧にアルマが捕まり、機動力が低すぎて捕まえられず、霊魂を扱いだしたのであっという間に異能力バトルへと変化を遂げた。

｢…“時間停止”…はいタッチです。｣
｢えぇ!?くっそぉ…!突撃だああああああああああああああああ！！！｣
｢うわっ…もう…皆、お願い｣
｢ちょっ!?僕一般人なんだけど!?｣
｢あーあー…片付け大変だなこりゃ｣

…その後、公園のグラウンドが大荒れに荒れたのは言うまでもないだろう。

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