*デバッグの力 ページ8
再び奴がこの回廊に舞い戻る。
しかし…
「…?何だ?」
その顔は完全に勝利を確信していた。
先程のようなものではなく、本当に自分が勝てると確信している。
「…んじゃ、挨拶代わりに…!?」
いつものように放った矢を、それは避けなかった。
そして痛みを感じている様子もなく、こちらへずんずんと近づいてくる。
「なら俺が…」
サンズがブラスターを構え、照射する。
しかし光が晴れてもそれはただ歩き続けているだけだった。
「攻撃がまるで効いてない…!?」
「というより…ダメージそのものを受けていないのか…?」
それはニヤリと笑い、ナイフを振りかざす。
「ッ、クソッ!」
咄嗟にサンズが遥か後方へ吹き飛ばしても、骨を突き刺しても、気にせず歩み寄ってくる。
異常。
あまりに異常。
一切の攻撃を受けても何も反応を見せないそれに、二人は攻撃をさせないようにするので精一杯だった。
「こんのっ…!」
「オラァ!…これでも駄目かよ…」
幾ら矢がその体を貫こうが、炎がその身を焼こうが、稲妻が迸ろうが、骨が貫こうが、光に飲まれようが、壁に叩きつけられようが、それは変わらず歩み続けるだけだった。
辛うじて攻撃前に吹き飛ばしてターンを与えないようにはできているが…
いずれ突破されるのは最早時間の問題であった…
絶望と狂気が、辺りに満ちる。
狂ったようにほくそ笑むその足を止められる術は、どこにも無いのだから。
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2022年9月9日 18時