＊しんぱんのとき。 ページ28
…もうすぐ…
アズゴア王が私達に希望をもたらしてくれる。
さぁ、貴方も笑顔に。
嬉しいでしょう?
心が弾むでしょう?
彼らは目の前にいる者がニンゲンであることを知らない。
しかし、これがモンスターという種族なのだ。
悪意を知らない、善意に満ちた者達なのだ。
貴方はもうすぐ自由になる。
そして、長い長い通路が終わり、一変して明かりの差す廊下へでた。
【審判の間】、そして、
【親の顔より見た廊下】、と。
窓から離れたところは暗く、顔も見えない。
その廊下に、一体のモンスターが立っていた。
｢遂にここまで来たな。｣
｢…あぁ。｣
｢お前達の旅はもうすぐ終わる。
この先へ進めば、お前達は王と相まみえる。
王とお前達が…この世界の運命を決する。
だが…その前に。
審判の時だ。｣
｢審判…?｣
モンスターの顔は見えない。
しかし、彼の声には聞き覚えがあった。
｢お前達が取った行動…手に入れたEXP…
それらを元に判定が下される。｣
｢EXPって…?｣
｢お前、知っているか?｣
Aは淡々と、その意味を告げる。
｢…EXecutor Point…他者に与えた痛みの量。誰かを殺すことで貯まり、LOVEが上がる。｣
｢LOVEの本当の意味も知っているか?｣
｢LEVEL of VIOLENCE…｣
｢暴力レベル…?｣
｢あぁ。他者を、特にモンスターを傷付ける能力を数値化したもので、貯まるほど感情を抑えるのが楽になる。そして自分は心の痛みを感じなくなる。
何の躊躇いもなく他者を傷つけられるようになる。｣
そう言い終わったところで、彼は一歩前に出て、その姿を現にした。
｢…ま、それがわかってるなら十分だな。
それに、アンタら二人とも、一度もLOVEを手に入れなかった。｣
｢あぁ。｣
｢だからって、アンタらの心が真っ白だなんて言わない。
けどな、アンタらの心はいつでも暖かかった。特にフリスクだ。｣
｢…私?｣
指名されたフリスクが一瞬たじろぐ。
｢そうさ。アンタはいつだって笑顔で、モンスターを元気にしてきた。どんなに辛く、苦しくても、アンタは笑って許してきた。
凄いことだぜ?
何度襲われても、絶対に誰かを傷つけようとしなかった。
アンタは…アンタ達はLOVEじゃなく、“ラブ”を手に入れたんだ。本当の意味でな。｣
暴力ではなく、愛。
実に彼らしい言葉遊びだろう。
｢ここから辛い試練が降り注ぐだろうが…
オイラが…皆がアンタ達を応援してる。
頑張れよ。｣
それだけいうと、サンズはどこかへ消えてしまった。
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おかっぱかっぱ - ハァー、やっぱいつ見返しても神。 (10月23日 22時) (
レス) @page13 id: 8906565ee4 (このIDを非表示/違反報告)
蛙飛び込む - くっ・・・好きぃぃ やっぱすげぇや文才力。小説のアンテも良きやねぇぇケツイぃっぃぃぃ (2022年8月25日 20時) (レス) id: 9cfc2f61bc (このIDを非表示/違反報告)
ラヌア(プロフ) - 文才がありすぎる………！続きも待ってる、頑張ってください！ (2022年8月12日 18時) (レス) @page16 id: 2b4ff7853b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロロフィル＠深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2022年7月30日 14時
