発は決まり。 ページ10
「さて、あとは…」
「“発”ですか？」
「それもだけれど…オーラを一か所に集中させられるかしら？」
「えっと…こう？ですか？」
リーファは腕にオーラを集める。
練で練ったオーラの濃さを移動させるのが“凝”である。
攻防力の集中などに使われる手法だ。
『ぬんっ』
Aは尻尾にオーラを集めた。
これで疑似的な“アイアンテール”が使えるというものである。
「そう…なら次は目に集中させなさい。」
「…？」
凝で目に集中させる。
Aも同じく真似した。
「さて、これが見えるかな？」
そう言ったグラッドの指先に、“5”という数字が浮かんでいた。
「…5…？」
「当たりだ。凝を解いてごらん？」
「…見えなくなりましたね」
「そう。凝を使えば、隠された念も見える。格上の相手と戦う時の常套手段よ」
「なるほど…」
ちなみにオーラを隠す技法は“陰”といい、絶の活用形の一つである。
これもいずれ使う時が来るだろう。
「さて、肝心の発だが…リーファ、何かこういったものが使いたい、という物があるか？」
「えっと…剣を使いたいです」
「剣、ねぇ…どんな剣かしら？」
「双剣が良いです！」
『リーフィア説濃厚になってきたぞオイ』
「そうね。Aは炎で良いかしら…というよりほぼ確定しているようなものだったわね」
「ブッ」
具現化系はまず実在するものを徹底的に調べ上げることから始まる。
じっくり見たり、触ってみたり、匂いを嗅いでみたり、舐めてみたり、音を立ててみたり。
五感でしっかり把握してから、対象を取り上げると今度は幻覚が見えてくる。
そうすると今度は虚像が質量をもった実物となって、ようやく自在に取り出し、使用ができるのだが…
「…あ、できました」
「はあああああああああああああああああ!?」
「えっ…」
なんと一瞬で双剣を具現化してしまった。
その刀身は緑色に染まっており、無骨ながらもどこか格好良さを感じるものであった。
『…まんま“リーフブレード”やんけぇ…』
その剣は物理草タイプのメインウェポンの一つとして挙げられる、“リーフブレード”と酷似していた。
「えっと…これでいいんですよね…？」
「あ、あぁ…」
「そうね。まさかここまで早いなんて…」
娘の急激すぎる成長にドン引きしつつも素直に褒め称える二人であった。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2022年7月29日 19時
