激戦を制するは。 ページ36
戦闘開始から一時間、ゴンとキルアは汗ぐっしょりで、Aとリーファにも疲労が溜まってきていた。
そしてネテロにも余裕が無い。
最早ハンデとして右手と左足を使わないという訳には行かなくなっていた。
｢ぬうっ…!｣
｢でいっ!｣
ゴンの蹴りを躱した…
｢ブッ!?｣
と思いきや顎に命中した。
躱したはずだと驚くネテロの目線の先では靴を脱いでリーチを伸ばしたゴンの姿があった。
｢汚ッ…!｣
｢背中が空いてますよ｣
背後からのリーファの蹴りが直撃し、大きく態勢を崩した。
ボールが手放され、宙に浮かぶ。
キルアがボールに飛びつく。
｢チャンス!｣
｢なんのっ｣
しかし回転した勢いのままボールを蹴ったネテロ。
壁に激突して戻ってきたボールを回収しようとするも、今度はゴンの飛ばした靴に弾かれる。
｢小癪な…!｣
『ほい、もらっt』
先に待ち構えたAがボールを取ろうとした瞬間、
ｽﾞｷﾞｬｱｯｯｯ
と大きな音が響き、目の前からボールとネテロの姿が消えた。
咄嗟に振り向くと、ほんの少しだけ息を切らしたネテロがボールを持っていた。
｢努力賞…と言ったところじゃな｣
その言葉は、彼らを諦めさせるには十分過ぎた。
｢やーめた。ギブ!｣
｢なんで!?｣
そう聞き返すゴンに、リーファが返す。
｢今の私達の実力では、精々先ほどのようにボールを手放させるのが精一杯です。
それに、次の試験に備えて体を休ませる必要がありますし。｣
時計を見れば、とっくに二十四時を過ぎていた。
｢私達は部屋に戻っておきますが、二人はどうしますか?｣
｢オレはもうちょっとやってみる｣
｢はっ！？｣
ゴンはまだ続けるようだ。
Aも続ける意思を見せる。
｢そうですか。頑張ってくださいね｣
『うっしゃ頑張るわ』
その後、その場には結局奪いきれずに燃え尽きたゴンとA、息を切らしに切らしまくったネテロの姿があった。
｢全く…末恐ろしい子供達じゃ…｣
余談だが、その日飛行艇が目的地に到着したのは予定時刻の凡そ一時間後だったという。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2022年7月29日 19時
