“ゾルディック家” ページ33
飛行船に乗り、改めてネテロ会長の自己紹介が始まる。
｢本来は最終試験で出る予定じゃったが…しかし一旦この場に来てみれば…｣
ここまで居残った常連メンバーに、殺気を醸し出すヒソカ、そして快進撃を続けるルーキー組。
彼らを見回し、再びネテロが口を開く。
｢何とも言えぬ緊張感が伝わってきて良いのう!
折角だからこのまま同行させて貰うぞ｣
さて、到着予定時刻は翌朝の８時。
疲れに疲れたレオリオとクラピカはさっさと部屋に入っていった。
一方で、
｢ゴン!船ん中探索しようぜ!｣
｢うん!｣
｢私達も行きますか。｣
『おう』
元気な四人は飛行船の中を歩き回る。
ふと、窓から夜景を覗き込んだ。
その奥では家々の明かりが照らされ、暗さも相まって美しい光景を産み出していた。
｢すっげぇ…!｣
｢ですね。たまには都会も良いのかなと思いますね｣
と、ここでゴンがキルアに話題を切り出す。
｢…キルアのさ、父さんと母さんは?｣
｢んー?生きてるよ?多分｣
｢何をされている方々なのですか?｣
｢殺し屋｣
｢両方とも?｣
ノータイムでそう返すゴンに、キルアが笑い出す。
｢あっはは、面白いなーお前｣
｢？｣
｢いや、マジ面でそんなこと聞き返してきたのお前だけだったからさ｣
｢え？でもホントなんでしょ?｣
確信をもったゴンに、今度はリーファが問う。
｢どうしてそう思うのですか?｣
｢なんとなく…だけど、ホントなんだろなって｣
｢…おっかしーなー、どこまで本気がわからないってのがチャームポイントだったのにー｣
静寂が辺りを包む。
少ししてぽつり、とキルアが話し出した。
｢オレん家、暗殺一家なんだよね。家族ぜーんぶ｣
｢へぇ｣
｢そんなかでもオレ一番期待されてるっぽくてさー、でもオレ、他人にレール敷かれるの嫌なんだよね｣
キルアの愚痴は止まらない。
親や家族への怨み節が出るわ出るわで、結局嫌気の差したキルアは母親をナイフで刺して家を出てきたそうだ。
｢オレ、ハンターになったらまずウチの家族取っ捕まえてやるもんね!
きっと良い値段で売れると思うんだー!｣
｢それは…まぁ、えぇ…｣
その時、そんな様子を見ていた男が一人、足を踏み出したのだった。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時：2022年7月29日 19時
