主役は遅れてやってくる ページ4
「チィッ……マタオマエラカ……!」
「んで、なんだありゃ」
突然現れた東矢と奏乃に、まるで親の仇を見るような目を向ける小那覇だったモノ。
その視線にも臆せず、二人は自身の得物を構えた。
「お前らも、よく頑張ったな。奏乃!」
「“heal”!」
「んじゃ、片付けるか」
「……はい!」
龍騎や柊真らの傷を癒し終え、二人の体を光が包む。
「努力ある者に勇気を。ノーブルグリーンチェンジ!」
「闇照らす、聖なる光に幸あれ。ミラクルチェンジ、シャイニー!」
緑と赤のコントラストが煌めく。
東矢の全身をヒーロースーツが包み込み、奏乃の腕には巨大ないつもの大槌が握られる。
希望をもたらす見慣れたヒーロー装備の背中に、美冬は安堵の笑みを漏らす。
「行くぞ奏乃!」
「はい!」
東矢の重力操作、それにより浮かび上がった奏乃の体は赤と緑の後光を引いて東矢と共に飛んでいく。
「ブッツブス!!!」
反応して飛び出した小那覇が、全速力で駆けながらその口に鈍く光るエネルギーを集約させる。
直後放たれた破壊光線が、今まで以上の出力でなりふり構わず放たれた。
「草薙さん!」
「任せろ、“カウンターフォース”!」
東矢が二人を覆うように発生させた強力な磁場の球体、その表面を沿うように光線は歪み、やがて大きく一回転して小那覇の元へと戻っていく。
「ガアアアアアアアアッ⁉」
自らの放ったそれに身を焼かれ、大きく仰け反る小那覇に目掛け、更に二人は接近する。
高度をぐんぐんと上げ、怯む小那覇に狙いを定めた。
「さっさと終わらせてもらうか」
「はい!」
東矢の銃口に眩い光が集約され、トリガーを引いた瞬間に大量の流星群が飛び出す。
魔力を練り上げ火力と数を高めたその弾幕と共に、奏乃の体もまた急加速し小那覇へと迫っていく。
「平和を乱す者には容赦はしない。俺の仲間に手を出すなら猶更だ」
「“ブライトスターインパクト”っ!」
東矢と奏乃の合体技、長年の連携の末に編み出されたそれは、奏乃の体をまるで宇宙から飛んできた流れ星のように加速させてこれまでにない一撃を放つものだ。
空気を切ってソニックブームを巻き起こしながら、完璧なタイミングで奏乃の鉄槌が振り抜かれた。
「グオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
避けようのない一撃、全てをひっくり返す必殺技の前に、小那覇の醜悪な暴走体は一瞬で弾け飛んだのだった。
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http
作成日時:2024年3月16日 8時