世界の歌姫に花束を 53 ページ10
自分の部屋で、Aの使っている
毛布を手元に置きながら
麦わらたちの目指す島を探していると
思いがけず、Aから連絡があり
嬉しくて舞い上がってしまう
「・・・A、俺も
お前の声が聴きたかった・・・」
『・・・マルコさん・・大好き』
彼女の優しくて甘い声に
俺の心は蕩け、自然と笑みが零れる
『島に着いたらすぐ・・っあ!!』
「っA!?」
受話器の向こう側で
Aと誰かが言い争う声が聞こえる
誰だ、やめろ、Aに触るんじゃねぇ
『敵船への情報提供は控えて貰おうか』
「・・・・ロロノア・・ッ!!」
『・・・白ひげの右腕
不死鳥マルコだな?
悪いが、逢瀬するなら
取り返してからにしろよ』
待て、と一言、言い終える前に
奴は乱暴に受話器を切った
ふるふると体が怒りで震える
静かに受話器を置き、すぅと深呼吸してから
バサッと周辺の海図を開き
無我夢中で麦わら達が目指すであろう
次の島を探し続けた
--------------
マルコさんに連絡を取っていたら
ゾロさんに電伝虫ごと取り上げられてしまった
「これは預かっておく」
「・・・情報提供なんてしませんよ」
「俺は警戒心高めでね、じゃ
せっかく歓迎してるんだ、宴でも楽しめよ」
ゾロさんは懐に電伝虫を隠すと
ぐびぐびとお酒を飲みながら
また宴の中心へと帰ってしまった
はぁ、と自然とため息が出てしまう
・・・・マルコさんや、皆が恋しい・・
ちょびちょび、と一人寂しく
お酒を飲んでいると
ウタちゃんがおーい、とやって来て
「A!ブルックさんと一緒に三重奏やろうよ!」
「んえっ、ピアノあるの!」
「あったー!っていうか、フランキーさんが
即席で作ってくれたんだ!」
ピアノって・・・即席で作れるんだ
少し間をあけて考える
・・・確かに、楽しまないと損か
こんな経験滅多にないもんね
ぐいっとお酒を一気に飲んで
私は二つ返事で引き受けた
「分かった、弾く!」
「やったぁ!」
二人で宴が催されている庭まで降りて
待っていたブルックさんが
私たちに気が付いて、ヨホホ、と笑う
「ウタさん、Aさん
この宴にぴったりの曲をご存じですか?」
「えっと、えーっと・・・」
「ビンクスの酒ですかね」
「あっ!いいね!」
「ヨホホホ!海賊たちの唄と言えば!
ぴったりの選曲ですねぇ〜!」
では、と
ブルックさんはバイオリン
ウタちゃんはボーカル
私はピアノで曲が始まった
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2023年8月4日 23時
