世界の歌姫に花束を 52 ページ9
サニー号に迎えられた日の夜は
海の上で盛大な宴を催してくれた
オレンジリキュールのお酒を片手に
宴の中心からそっと抜け出して
船尾の方へ行く
懐の中から子電伝虫を取り出し
マルコさんへ連絡をしようとすると
「肉ぅ〜〜〜〜!!!!」
「っわ!!?」
大きな骨付き肉を抱えながら
ルフィ君がいきなり飛んできたので
驚きながらも、急いで
子電伝虫を隠すことはできた
「ど、どうしたの、ルフィ君・・・
お肉はここにはないよ」
「にしし、みたいだな!」
ルフィ君は屈託なく笑った後
ドサッとその場に座ってお肉を
美味しそうに食べ始め、
一瞬で食べ終えた後
くるっと私の方を振り向き、言った
「俺、お前に借りがあるんだよなぁ」
「な、なんだっけ・・?」
「マリンフォードで
俺と、俺の大切なモンを
助けてくれただろ?」
あ、と脳の片隅にあった記憶が
少しだけ掘り起こされた
「思い出したか?
ほんっとにありがとうな!」
「あの時は、エースさんも・・・
私の弟もいたから・・
・・だから気にしないで
私も、私の大切な人たちを守りたかった」
にしし、と笑いながら
彼は私の隣に来て、船の縁に上り、座る
「ウタも、助けてくれたのか?]
「・・・ううん、私じゃないの
シャンクスさんだよ」
「でもお前の力だって
ウタが言ってたぞ」
「うーん・・・私はただの仲介役
ウタちゃんとシャンクスさんを
繋いだだけ・・・」
「・・・・・そうか」
ルフィ君は私の話を聞いた後
帽子を深く被って、寂しそうに答えた
「Aの力ってすげぇーな!」
「そんなことないですよ・・
・・・ね、ルフィ君」
「んー?」
「私たちを攫った理由は何?」
「・・・・・ひゅぅ〜
し、知らねぇ」
「ちょ、ちょっとぉ!!」
「俺、肉食ってくる!」
ルフィ君は汗を大量にかきながら
口笛を吹いて、再び
宴の中心へと行ってしまった
「・・・もう・・・・」
さて、と
再び子電伝虫を取り出して
今度は周囲に気を付けながら
プルル、と音を鳴らした
『A!!』
「マルコさん・・・!
あ、お静かに・・・」
『す、すまん・・・』
マルコさんの声が聞こえて
心なしか、ほっとする
きゅうと心臓が締め付けられ
早く会いたい想いが募った
「マルコさん、ごめんなさい
まだ場所は分からないんです・・
・・ちょっと、声が聞きたくなって・・」
『・・・A、俺も
お前の声が聴きたかった・・・』
優しくて、甘い声に
私の心は蕩けた
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2023年8月4日 23時
