世界の歌姫に花束を 50 ページ7
ルフィ君はニコニコと
楽しそうに笑いながら顔を出す
いち早く、何かに気が付いたのか
ナミさんは記録指針をさっと隠した
「なんだー?面白そうな話してるな!」
「ひぃい!!おめぇはあっちに行ってろルフィ!」
「Aたちを帰さなくちゃいけないでしょ!
私がたった今航路を決めたからね!!」
「待て!俺が船長なんだから、俺が決める!」
攻防を続ける彼らを目の前に
私とウタちゃんはこっそり
部屋を出て甲板に飛び出し
マルコさんと話を続けた
『・・・麦わらが航路を変更しないように
気を付けてくれよぃ』
「えぇ、勿論・・・!」
「マルコー、シャンクス来てる?」
『いいや、まだ追いついてない・・
なんだ、父親が恋しくなったのか?』
「違うよ・・・
ちょっと気になっただけ!」
ウタちゃんは頬を少し染めて
ぷいっとあちらへそっぽ向いてしまった
あ〜、寂しいんだぁ、可愛い・・・
口元を手で抑えて笑っていると
膝の上に置いていた電伝虫が
伸びてきた手によって奪われた
「あっ!」
「ちょっと貸してくれ!」
「な、何するつもりですか!?」
「いーからいーから!」
ルフィ君が電伝虫を奪い、受話器に向かって
大きく息を吸い、言い放つ
「おい!パイナップルのおっさん!」
『その声・・・麦わらか・・
・・・・なんだよぃ』
向こう側の彼の声は不機嫌そうで
何を話し始めるのかとひやひやしていると
「二人は帰さねぇ!!誘拐した!!
取り返したきゃ、追いついてみろよ!」
『は!?』
「「ええええええええええ!!!!?」」
「ルフィー!!何言ってるのよ!!?」
「シャンクスにも言っておいてくれ!
じゃあな!!」
『ま、待て!!麦わ』
ルフィ君はそのまま乱暴に受話器を置くと
その電伝虫を私に返した
全員が驚きでポカンとしてる中
彼だけは面白そうに笑っている
「しっしっし!楽しくなってきた!」
「どこがよぉ!!」
案の定、ナミさんの拳骨がルフィ君を成敗する
そしてウソップさんと、チョッパー君は
号泣しながら天へと祈り始めた
「神様・・・どうか・・・
俺たちは許してください・・・」
「俺たちは巻き込まれただけだー!」
「どうしてくれるのよぉ!!」
「うーん?そんなまずいことしたか?」
ナミさんがルフィ君の首を雑巾のように
搾り上げても、彼は何ともない表情で
私とウタちゃんの方を見て、二ッと笑う
「ウタ、A!
死ぬほど冒険しよーな!!」
ウタちゃんは嬉しそうに頷くが
私は半泣きで頷いた
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2023年8月4日 23時
