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世界の歌姫に花束を 72 ページ29

わさびと一緒に、親父とルフィ君の傍に降り立つ
2人は戦闘に夢中でまだ私に気が付いていない
私は思いっきり息を吸い込んで



「おやじぃ〜〜〜〜〜〜!!!!」



大声で、親父を呼んだ
すると、彼らは一度戦闘を止め
私の方をほぼ同時に見た



「A!!」


「A〜!あれ、ウタとブルックは?」


「今は、げほ、安全な場所にいて
地震が、収まったら、船に戻ってくる・・」



久しぶりに大声を出したせいか、少し咳き込む
私は再度、息を整えながら親父に言った



「親父、ここは無人島じゃないの・・・
トンタッタ族がいて、地下に住んでるから・・
お願い、この島で戦闘はやめて・・・!」


「トンタッタ族・・・・」



親父は私の前に片膝をついて
眉を潜めて、話し出す



「トンタッタ族に会ったのか?」


「うん・・・」


「・・・A、俺の記憶が正しけりゃ
この島の住民は20年前に全員死んでる
数少ないトンタッタ族もな・・・」


「えっ・・・!?」



じゃ、じゃあ、さっき、会ったのは
つ〜と、背筋に嫌な汗が伝う
瞬間、足元にふわっとした何かが通る



『海賊』


『海賊れす』


『あなたも』


『ウタ様のおともだち』


『海賊だったんれすか』


「ギャーーーーッ!!?」



足元を見て、私は咄嗟に親父の脚に抱き着く
親父も私の体を大きな手で守ってくれた
ルフィ君にも見えてるみたいで
パンッと拳を掌で鳴らし、彼らを睨む



『海賊』


『みんなを殺した』


『苦しかったれす』


『あつい、あつい炎に燃やされて』


『アイツラ』


『わらってた』


『ドウシテ』


『どうして、こんな目に』


『酷い、酷い』


『きっと』


『この苦しみと』


『寂しさが』



『『魔王を生み出す』』



途端に、黒い音符と共に
肌を切り裂くような風が、私たちを覆う



----------------



親父たちのところへ来れたはいいが
黒くて強い風が彼らを取り囲んでいた
傍で叫んでいたわさびを宥め
恐る恐る、彼女は何処か問うと
わさびは、じっとあの黒い風の中を見つめる



「クソッ!!!」



不死鳥へ姿を変え、その風に突っ込むが
全てを切り裂くような強い風に、突き飛ばされる



「っぐ・・・!」


「マルコ!大丈夫か?」


「あぁ、俺はな・・・!
中に親父とAがいる!
・・・恐らく麦わらもな」


「何ッ!!?」



2人でどうするか、と立ち往生していると
フッと、何事もなかったのように黒い風が消え
砂浜に倒れる3人の姿が見えた

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作者名:ロモォコ | 作成日時:2023年8月4日 23時

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