不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 6 (ページ21)

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世界の歌姫に花束を 64 ページ21

そして、お父さんは
本棚越しに、小さく呟いた

『愛しているよ・・・
どうか・・どうか・・神様、二人を・・』

瞬間、家の中に海賊たちが侵入してきて
お父さんは凄まじい形相で
海賊たちに立ち向かった

『うぁあああ!!!!』

『ぐッ!?なんだコイツ!』

『悪魔の実は持ってねぇのか!?』

『出ていけぇ!!海賊!!!』

お父さんは小さなナイフで戦うが
その海賊たちの船長がやって来て・・・
・・・・・咄嗟に目を瞑った
耳には、苦しむお父さんの声と

『おい、ここの島に代々伝えられている
悪魔の実をどこにやったんだ?』

『し、知らな・・い"ッ・・・』

『ッチ・・・仕方ねぇな・・・』

ドスッと、鈍い音が聞こえると
お父さんの、声は・・・聞こえなくなった・・
そっと、目を開けると
・・・胸を剣で貫かれた、お父さんの姿があった
ひゅっと、喉の奥で息をのんで
目から光を失ったお父さんの頬に触れた

「おとう、さ・・・っ・・」

『・・・女と子供がいたな・・
・・・・ハハハ・・!そこにいるのか・・!』

船長らしき男は
私と、お母さんがいる奥の部屋へ
鋭い視線を送った

「お母さん・・・・!!」

咄嗟に、私は奥の部屋に行こうと
走り出した刹那、いつの間にか
お母さんと私が隠れている部屋に来ていた

『ッあ、開けられちゃう・・』

『まま・・・・』

お母さんは、ドン、ドンと
部屋の扉をこじ開けようとする音に絶望して
しかし、腕に抱く幼い私に呼ばれると
泣きそうな笑みを浮かべながら、振り向く

そして、お母さんは私の小さな手を握り
目線を、悪魔の実に移した

『・・・もう、これしか・・・』

お母さんは、震える手で悪魔の実に手を伸ばし
手でちぎってから、幼い私の口に運んだ

『・・・あーん・・』

『あむ』

『いい子、良い子ね・・・』

『べぇー』

『ウタちゃん・・これ食べたら・・・
貴方の大好きな、パンケーキを・・・
・・・たっくさん、作りましょう・・』

『うー・・・』

ごくっと、幼い私が悪魔の実を飲み込むと
不味そうな顔をして
涙目でお母さんを睨んでいた

『・・・ごめんね・・ウタちゃん・・・
不味かったね・・・ありがとう、食べてくれて・・」

お母さんは幼い私の額にキスを落とすと
愛してるわ、と呟いて立ち上がる

『まま?』

海賊たちの足音が鳴り響く中
お母さんは、瞳に涙を溜めて
私の頭を、愛おしそうに撫でた