検索窓
今日:24 hit、昨日:19 hit、合計:7,853 hit

世界の歌姫に花束を 63 ページ20

二人の男女は、ボロボロと涙を零しながら
私の顔を何度も見て、抱きしめた



『やっと、やっと会えた・・・!!
あぁ、こんなに大きくなって・・ッ』



燃えるような赤い髪の毛と
丸くて大きい綺麗な瞳を持つ女性

私は彼女の顔をじっと見て、言葉を零す



「おかあ、さん・・・」


『えぇ・・・ッ・・えぇ、そうよ
貴方の、お母さんよ・・・』



温かみのある白髪に
アメジストのような紫色の瞳を持つ男性

私は彼の顔を見つめて、呟いた


「おとう、さん・・・」


『あぁ・・・お父さんだよ・・!
ほら、よく顔を見せて・・・』



お父さんの大きくて、暖かい手が
私の頬を包み込んで
お母さんが私の頭を、何度も撫でてくれた

一気に、こみ上げるものが出てきて
気が付けば、私は
うわぁぁん、とまるで小さな子供のように
二人の腕の中で、たくさん泣いた



「ごめ・・・ッ・・ごめんなさい・・・!
私・・・私・・・・!!!
たくさん・・人を・・・・
何の・・罪もない、人達を・・・・!」


『いいの、いいのよ・・・
全部知ってるわ・・・
だから・・謝らないで・・』


「だ、だって、っ産んでくれたのに・・・
わた、私、何にも・・・返せてない!
二人に、誇れない・・・!!
それどころか・・・二人に、合わせる顔も・・
本当は・・ないの・・・」


『なんてことを言うんだ!
・・・無事に産まれて、生きてくれてることが
何より、僕たちの誇りだ・・・!』



二人は泣きながら私を
強く、強く抱きしめてくれた

ぎゅうと、一頻り抱きしめた後は
二人は私を抱きしめるのをやめて
私の顔を見つめながら、優しく撫でた



『・・・ウタ・・
謝るべきは、私たちよ・・・』


「っえ・・?ど、どうして・・?」


『・・・・・見せて、あげる
あの日、何をしたのか・・・』



すると、お母さんは私の額に
自分の額をそっと当てた


その時だった
一気に、誰かの記憶が頭に入り込んで
目の前で、映像として流れ始めた


家の周りが火に囲まれる中
中へ侵入しようとする海賊と
手にナイフを持ったお父さんが・・・・
お母さんと、私を奥の部屋に押し込む

そして、その部屋の扉を隠すために
重たそうな本棚を動かした



『あなたぁッ!!』


『出て来るな!!!絶対に出て来るな!!!
・・・ッはぁ、は・・・!』


「おとう、さん・・・」



お父さんは、震えながら
手に持ったナイフを握りしめる

世界の歌姫に花束を 64→←世界の歌姫に花束を 62



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ロモォコ | 作成日時:2023年8月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。