不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

ちび夢主 22 ページ5

親たちから取り上げられてしまった
3人の赤ん坊たちは
ベイビーマスターの店の奥にある
預かり所に連れてこられた


「だぁぁう」


「あーう!」


「・・・・うぅ」


カラフルな柵に囲まれたスペースに
赤ん坊たちは、おもちゃと一緒に
3人で放り込まれてしまう
どうやら、3人以外はいないようだった


「あう、あう・・・」


ギャングな帽子を身に着けた
ベッジとシフォンの息子、ペッツが
周りをキョロキョロと見渡して
近くにあったノートと、クレヨンを持ち

ぽけっとした表情をする
ロシーとマリィの息子、コラソンと

泣きつかれて、目を腫らす
異世界人の娘であるAが

ひょこっと、ペッツの書く
ノートを覗き込む


「ああぅ?」


「だう、だーう・・・」


「あ!うー、あーう!」


「キャッキャッ」


ペッツが何かをノートに書き込んで
それを見たコラソンは
楽しそうに手を叩いて
拍手をペッツに送る
拍手を貰ったペッツは
誇らしげに胸を張る


「うぅ・・・あうあう・・」


二人が賑やかに話す中で
Aは不機嫌そうに声を上げる
そしてまた、泣き出しそうな表情を見せ


「・・・・まぁま、まーま"・・・」


今、とても会いたい相手の名前を
何度も何度も口に出して
また涙を流し始める


「う”ぇえ〜ん・・・・」


「あ、あうあう!」


「だー、だーう」


泣き出してしまった女の子を
コラソンは優しく頭を撫でて
ペッツは不器用な言葉で慰めた
しかし、それでも泣き止まない彼女の
泣き声を聞きつけたのか
扉の開く音が3人の耳に届いた


「だっ」


咄嗟にペッツとコラソンはノートを
おもちゃの山の中に隠す
その隙に足音は近づいてきて
あっという間に彼らの前にたどり着く
二人が恐る恐る、後ろを振り返ると

女の子が、Aが
あの、自分たちの親を連れ去った男に
抱き上げられてしまっていた


「がぁう!!」


「う”ー!!」


その子を離せ、と二人は威嚇するが
どうにも大人の男には効かない
彼は二人の威嚇を無視して
抱き上げた女の子をじっと見つめる


「ンフフフゥ、可愛い女の子ねぇ〜
よしよ〜し、今日から私がママよ」


「・・・う"・・まぁま」


「そうよぉ、まぁまよ〜
可愛いわねぇ、良かったわ
海賊に囚われて、さぞかし・・・
怖かったでしょうにねぇ・・」


「・・・まぁま、ちあう・・・」


男はAの言ってることなど
お構いなしに、女の子に頬ずりをした

そして最初は無心だった女の子も
次第に表情が怒りに変わっていく

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