不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

狂う 1 ページ18

起こしてやろうか、とも思ったが
いや、俺の勘違いかもしれない
ひとまず、落ち着こう
彼女が起きてから、何かあったか聞けばいい

動揺する中、彼女に毛布を掛けなおして
今は静かに寝かせておこうと
そっと彼女の肩に触れる、と


「っうぅ・・・・」


Aは苦しそうな声を出しながら
むくり、と起き上がる
裸体を毛布で覆って隠しながら
こちらを振り返った


「・・・・マルコ、さん・・?」


「A・・・」


正直・・・起き上がったら
問い詰めてしまおうと思っていたのに
彼女の顔は涙で濡れていて
それどころではなくなってしまった

そっと、彼女の頬に触れると
びくっと、怯えるような瞳で
俺をじっと見つめる


「・・・大丈夫か、抱きしめても」


「・・・っうん・・」


抱きしめて、と彼女は
消えかかりそうな声で呟く

頬に触れていた手を首の後ろに回して
彼女を引き寄せて、抱きしめる
Aも俺の背中に恐る恐る、手を伸ばし
ぎゅうと、力なく俺の服を掴んだ

そして泣きながら
ごめんなさい、と言葉を吐いた

その瞬間に、どうしようもないほどの
嫉妬心と裏切られた怒りが沸き上がる

間違っても彼女を傷つける言葉を
吐かないように、耐える


「うっ、うぅ・・・」


「・・・大丈夫、大丈夫だよぃ」


背中をさすりながら
そっと彼女の涙を拭う
元に戻っても
泣き止ませることから始まるとは
心の中で、そう思い苦笑した


「寒くないかよぃ、喉は乾いてねぇか?」


「う”、う”ぇぇん・・・!」


「・・・サッチから何か貰ってくる」


「やだ・・・!ここにいて・・・」


ぎゅう、と彼女が強く抱きしめるので
柔らかい胸が自分の体に押し付けられた
んぐ、くそぉ・・・・
押し倒して、抱きたい想いを
なんとか抑え込んで、返事をした


「わかった・・・
だ、だけどよぃ、まずは
服を着てくれないか・・・
風邪ひいちまうぞ・・」


「っう、は・・い・・」


一度互いに手を放して
俺は振り返って、引き出しから
彼女の服を取って渡した

渡すときに彼女の体が
毛布からはだけて、チラッと見えた

胸に歯型が刻まれている

手首にも、痛々しく縛られた痕が
くっきりと残されていた


「・・・・っA
着替えたらでいいから
話せるところまで、話してくれよぃ」


「・・・・はい・・」


彼女は素直に服を受け取る
裸体を見て興奮してしまわないように
背を向けて、着替える瞬間は
見ないように努力した


「・・・っず、マルコさん
もう、大丈夫です・・・」

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