不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

ちび夢主 32 ページ15

店から海岸までの一本道を
少し後ろのほうにベッジたち夫婦が
そのまた後ろにナース長たちと
ロシーの妻のマリィが
それぞれ談笑しながら帰っていた

俺はAをぎゅっと腕に抱き
歩みを進めながら
すまなかった、と彼に謝る


「・・・お前の大切な人たちに
怪我をさせてしまうところだった
本当に、すまない・・」


「・・・確かに巻き込まれて
コラソンもマリィも・・僕も・・
死ぬほど怖い思いをしました、けど・・」


彼は真剣な表情から変わり
頬を緩ませて
自分の子供を愛おしそうに撫でる


「おかげで、二人の友達が
息子に出来ました・・・・!
・・・ペッツくんとAちゃんが
さっき楽しそうにコラソンと
遊ぶ様子が見れて、死ぬほど・・
うれしかった、安心したんです!」


彼は少し涙を浮かべながら
また話を続けていく


「実は、この子・・・
耳が聞こえないんです」


俺たちの間には一瞬
波の音と、子供たちの寝息の音が
強まって聞こえた


「・・・生まれつきか?」


「はい・・・
・・・この子が産まれて、耳が・・
聞こえないことが判明した時・・・
僕は・・・僕、は」


殺してしまおうと思ったんです

今は僕たちが守ってあげられる
でも、僕たちが死んだ後・・・
この子は、孤独のまま、死んでいくのかと
そんなことはない、と思っても
やっぱり頭の中をよぎるんですよ

コラソンが他の赤ちゃんと
同じことができない時や
僕の声もマリィの声も聞こえない時に


「・・・僕ってひどい親ですよね・・
子供のことを信じてあげられなかった・・
・・・今日、二人と会って
仲良くする様子を見て、初めて僕は・・
コラソンを信じることができた・・!

この子は、大丈夫だって」


彼はずびっと鼻をすすった後に
明るく、顔を上げて言う


「今日、ここに来てよかった!
マルコさんたちに出会えて良かった!」


「・・・フフ、それなら良かった
鼻水と涙は自分で拭けよぃ」


「ええー−−!!
ハンカチ貸してくれる流れですよここは!」


言いながら彼は笑ってぐし、と
自分の袖で顔を拭いた



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3つの家族がそれぞれの船が
停泊している場所に帰り
俺たちも我が家に帰って
食堂で夕食をとりながら
今日の冒険話を家族に聞かせた


「なんだそれ!!!楽しそうじゃねぇか!!
くそ、俺も行けばよかった・・!」


「あうあう〜」


「そうか〜Aも楽しかったか〜」


エースは羨ましそうに
離乳食を食べるAの頭を撫でる

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