ちびマルコ6 ページ10
サッチさんに呼ばれて
マルコさんとわさびも
パリ、といちご飴を
美味しそうに頬張った
「こりゃうめぇよぃ」
「そりゃ良かった!
今度また品のいい苺を仕入れたら
たくさん作っておくよ」
エースに全部食われない内に、と
サッチさんはビシッと
頭に二つのこぶをつけて
机に突っ伏している
エースさんを指さした
「どっから聞いたのか・・
結構多く作っておいた飴を
ほとんど食いやがった・・・」
「あ、あらら・・・
それはお気の毒に・・・」
私は目を逸らして
知らないふりを決め込んだ
「止まったかよぃ」
ひょこっと横から顔を出して
私の顔をマルコさんが覗き込んだ
「あ、そういえば・・・」
ちょっとお手洗いに、と
席を外して
食堂に隣接しているトイレで
ぽいっと鼻に詰めたティッシュを
ゴミ箱に捨てた
鏡を見て、大丈夫そうだったので
軽く水で手と鼻の周辺を洗い流し
トイレから出て、ニッと笑って
ピースを向けた
「止まりました!
ご心配ありがとう!」
そう言うとマルコさんは
ほっとした顔で、良かったと
独り言のように呟いた
「鼻血が止まったら
Aは調理場に来てくれるか
手伝ってほしいことがあんだよ」
「えぇ、喜んで」
私はマルコさんに軽く会釈して
わさびの頬をぐりぐりと撫でた後
調理場の中に入って
いつものように自分のエプロンをつけて
サッチさんの後を着いていった
「ここにある
パイナップル捌いといてくれるか」
「・・・わざとですかサッチさん」
「ふぇ〜〜ん??何のことですかぁ〜〜?」
はぁ、とでっかくため息をして
袖を捲り、包丁を持って
パイナップルを捌き始める
「だっはっはっは!!
まーまーそんなに機嫌悪くすんなよ
今日はアイツの好きなモンで
料理を作ってやろうと思って、だ」
「あ、な、なんだ・・・」
ガチャン、とサッチさんは
大きな中華鍋を取り出して
コンロの上に乗せた
そしてトトト、と横でリズムよく
人参や玉ねぎなどの食材を切る
「わかった、酢豚ですね」
「あったりぃ!
つまみぐいポイント1点獲得!」
やった、と笑いながら呟いて
酢豚に入れるパイナップルを
一口サイズにトン、トンと切る
「あ、皮とか捨てるなよ」
「え、なんでですか?」
「皮についてる実から
ちょーっと果汁をとって・・・
豚肉を漬け込むんだ
肉が柔らかくなって美味いんだぞ」
サッチさんは得意げに話しながら
大量にあった食材を切り終えていた
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2021年12月23日 1時
