ちび夢主 17 ページ49
その日の夜、Aは
日中に買い出しに向かったり
サッチたちと遊んだからか
昨日よりも寝つきが良かった
赤ん坊用のベッドで寝かしながら
部屋の明かりは消して、代わりに
机の上だけを照らすランプをつけて
カリカリ、と書き物をしていると
うぇぇ、とAが泣き出してしまった
「どうしたよぃ〜」
小さなベッドの中を覗き込んで
ぐずるAを抱き上げる
「うぇ、えぇえ”ん・・・
うぅう”あ〜!」
「・・怖い夢でも見たのか
よしよし・・・大丈夫、大丈夫」
「まま〜」
俺の肩に顔を埋めながら
まま、と言いながら泣く声に
ズキ、と心が痛んだ
ごめんな、会いたいよな、早く
「・・・お前の好きな子守歌ぐらい
知っておけば良かった・・・
どうしたもんかねぃ・・・」
「う、うぅ”、まーま・・・」
彼女はふと、俺の瞳を見つめて
その小さな温かい手を
俺の頬に添えてくれた
「ひっく、うぅ、まぁま」
「・・・・ふふ、ちっちゃいねぃ
心配してくれたのかぃ?
優しいなぁ、お前はいつだって・・」
腕の中でゆっくり揺らしながら
優しく彼女の髪の毛を撫でる
「まぁま・・・まま・・・・」
やはり、不安がっている
確か赤ん坊をリラックスするには
歌が効果的だと、本に書いてあったが
「歌と言ったら
ビンクスの酒くらいしか・・
Aだったら、もっと・・・
たくさん知ってただろうになぁ」
「ままぁ、うぅ、う”あ〜ん・・!」
「よしよし〜」
よし、物は試しだ
彼女の安心のためならば
何でもいい、何かを、と思い
俺は静かに歌いながら
腕をゆりかごのように揺らした
「ビンクスの酒を・・・
届けに行くよ・・」
「・・・・」
すると、段々とAが
泣き止み始めて
俺の腕の中で大人しくなった
おぉ・・・意外と・・・!?
大人しくなった隙に
日中に買ったフェイスタオルで
涙の跡をそっと拭く
「んやぁ〜」
「嫌だねぃ〜ごめんな〜
もうちょっと、ちょっとだよぃ〜」
「んんぐぅ」
「っぷ・・・」
我慢しようとして眉間に皴を寄せ
口を一文字に噤んでいる様子が
何とも可愛くて、笑みが零れ落ちる
「はい、おしまいだよぃ」
「ぶうぅ・・・」
「ふふ、くっくっく・・
そうだな、もう寝るか・・」
ぶすくれたAを再び
ベビーベッドに寝かせ
ランプを消して、俺もベッドの中に入る
「まーま」
「あー、こっちがいいか・・
仕方ないねぃ・・・」
ベビーベッドからAを抱き上げ
一緒のベッドで寝息を立てた
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2021年12月23日 1時
