ちびマルコ24 ページ28
カーテンがシャッと開き
いい匂いと共に
入ってきたのは
あの人だった
彼女はトレーの上に食事を持って
すぐ傍にある机に置いた
「熱は下がったって聞いたんですけど
気分はどうですか?」
「ん、大丈夫だよぃ」
良かった、と彼女は呟いた後
いきなり頭を下げて礼を言われた
「あの時、庇ってくれて・・
ありがとうございます!!」
「や、やめろ、頭を上げてくれ
そんな大層なことはしてねぇよぃ・・」
「いいえ、しました
弾丸が私に当たってたら・・
私は、死んでました
貴方は私を、救ってくれた」
だから、ありがとうございますと
彼女はまた深々とお礼を言う
「それを言うなら俺もだな・・」
「えっ?」
「・・意識が朦朧としている中
弾丸を抜いて治療をしてくれたのは
アンタだろぃ?」
彼女は、心当たりがあるようで
こくりと頷いた
「ありがとう
あの弾丸が体に入ったままじゃ
どうにも、ままならなくてよぃ
あ、水も飲ませてくれたな」
「あっ」
彼女は今までの表情とは変わって
さぁぁぁと青ざめた顔を見せた
そして震える声で俺に聞く
「ど、どこまで記憶がありますか」
「え、と、そうだな・・・
・・・アンタに目を閉じてって
言われたときまで、だな
ぼんやりとだけだよぃ」
思い出してしまって
ボッと顔が熱くなる
そういえば、口移しで
飲ませてくれたんだったな・・
彼女もそれは覚えているようで
あたふたと汗をかいていた
「ええと、その・・・
あ!ごはん!!
食べれそうですか?」
「あ、あぁ・・・ありがとうよぃ」
彼女は無理矢理、話を逸らして
机に置いた食事を指さす
あまり腹は空いていなかったが
せっかく持ってきてもらったので
有難く頂くことにした
「スプーン持てそうですか?」
「大丈夫だ」
スープとスプーンを受け取り
こくり、と一口飲む
じんわりと体が温かくなり
とろとろに溶けた玉ねぎが美味い
ぱくぱくと食べ進めていると
「それじゃあ、食べ終わったら
食器を机の上に置いておいてください」
「・・・どこかに行くのかよぃ」
「えぇ、弟と連絡しようと・・・」
彼女は話しながら急に
喋るのを止めて、俺の顔を凝視する
なんだ?俺の顔に何か
ついているのか、と思ったが
そういうわけではないらしい
彼女は黙ったまま
すぐ傍にあった椅子に座った
「やっぱりやめた!
・・・少しここに居ても?」
「好きにしろよぃ」
口ではそう言ったが
内心、傍にいてくれるのが
・・結構嬉しかった
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2021年12月23日 1時
