ちびマルコ18 ページ22
へ、と男は情けない声を出した
私は心底、可笑しく思って
ふふふ、と笑いを零してしまう
「な、な?」
「今、貴方に打とうとしてる劇薬は
とっても、痛い死に方をするんです
お願いだから、打たせないで」
「お、お、お前・・・
だましたな・・・!!?」
「動くな」
ぐっと薬剤を押し込もうと
力をこめると
男は真っ青になって
そのまま動かなくなった
「さて、お仲間たちは
今頃宴に夢中なんでしょうね
時間はたっぷりあります、が
夕飯の時間までに帰らないと
家族に心配されてしまうので・・・
そうですね、30分くらいで
済ませてあげましょうか」
男の首から注射器の針を抜いて
ボロボロの椅子に腰かけた
その際に男は逃げようと
体を動かそうとしたが
「ヒッ・・・な、なぜ・・」
「足元、随分とお留守ですね」
男の足元には
白い塊がうごめいていた
得体の知れないものに
男は一層怯えた
白い塊は形を変えて
段々と男の体に巻き付いた
すると、男は力なくその場に倒れる
「これ、は」
「海楼石です、弟からの贈り物ですよ
私が戦えるようにって
・・・いけない、話が脱線しないうちに」
男の頭を足で
グリグリと踏みにじりながら
私は幾つか質問をした
「まずは、どうやって
14歳のマルコさんをこの時代に?
あの懐中時計は、何?
彼は帰れるの?」
男は恐怖を和らげるためか
深呼吸をした後
ゆっくりと答えた
「お、俺はソラソラの実の能力者で
あの懐中時計は、俺が生み出した・・
懐中時計に合わせた時代に
標的を送ることができる・・
俺は、今の不死鳥マルコの実を
奪うことはできない、と考えて・・っ
それで小僧の不死鳥なら
まだ強くないからッ・・
・・奪えると思った・・!
だから!過去に遡って!
アイツに懐中時計を持たせて!
今の不死鳥と入れ替わるように
仕組んだんだ!」
なるほど、今の時代のマルコさんは
昔の時代のマルコさんと
入れ替わったってことなのか
「で、戻れるの?
彼らは」
「も、戻れる・・・・
懐中時計には、時間の横に
日数が書いてあったはずだ・・
そこに書かれた日数が経てば
入れ替わった者たちは
元の時代に戻れる」
「・・・ご回答ありがとう・・」
とりあえず、良かった
二人は元に戻れるのか
男は質問が終わったと思ったのか
命乞いを始めてきたので
再び注射器の針を首に刺して脅す
「まだ質問はある、静かにしてください」
「っひ、あ、す、すみませぇん」
その時、後ろで生き物の気配がした
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2021年12月23日 1時
