ちびマルコ16 ページ20
敵に連れてこられると
やってきたのは
根城らしき廃墟の城
そこまで大きくないので
確かに潜むには適している
城の中に入ると
結構な人数の敵がいた
大広間に進んでいくと
大きな椅子に腰かけているのは
髭が時計のような形をした
この海賊団の船長らしき人物だった
「船長、女も捕まえました」
「ヒヒッ、これはとんだ収穫だ!
異世界人様じゃねぇか!」
男は嬉しそうに飛び跳ねて
私の顔を掴み
じろじろと観察する
「裏社会じゃお前の額が
どんどん上がってる・・・
船を捨ててまで、この作戦を考えて
大正解だった!!
野郎ども!今日は宴だァ!!!」
「「おおおおおお!!!」」
船を捨ててまで、作戦
男の言葉を拾っていくと
どうやらマルコさんを捕えることは
大がかりな目的だったらしい
チラッとマルコさんを見ると
彼は船長の顔を見て
驚いた顔をしていた
それに気づいた船長は
ニヤニヤと楽しそうに、彼を見下した
「よぉ〜マルコ・・・
びっくりしてるなァ
倒したはずの俺が・・
なんでこの時代にいるんだって?
バカめ!俺はずっと
この時代の人間だよ!」
ガッ、とその船長は
力の弱ったマルコさんを殴り
マルコさんはそのまま床に倒れる
ピキ、と自分の
頭の血管が浮き上がったのを感じた
「ッ・・・」
「お前のような小僧でも!
その体に宿す実の値打ちは!
今じゃお前の賞金額より高くなってる!
ジ〜ハハハハハ!!
そして値打ちもつけられないほどの
異世界人の女!!
俺たちァ億万長者だぞ!」
セミみたいな笑い声しやがって
倒れたマルコさんの
傷の具合をちらっと横目で診ると
まずい、失血しすぎてる
このままじゃ、マルコさんが
考えるより早く
私の口と体は動いた
ドサ、とその場に跪いて
目線は下に向けたまま
泣きそうな声で言い放つ
「あぁ、賢くて聡明な船長様・・
どうか私を貴方様の傍に
置いては頂けませんか・・」
「な、なんだぁ女」
船長はいきなり
私のした態度に驚きつつも
嬉しそうな声色で答える
私は跪いたまま
目線を上にあげて
その船長の瞳をじっと見つめる
「貴方様の立てた
この手の込んだ計画・・・
これは凡人では思いつきません・・
感嘆いたしました、私・・本当に・・
ですからどうか・・
売られるまででも構いません
貴方様の傍に仕えさせてくださいませ」
「そうか、そうか・・!!
ハハハ!!愛い奴だな!
いいぞ!お前はしばらく
俺の傍においてやろう」
嬉しい、と
媚びた声で言った
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2021年12月23日 1時
