zz/数日前と変わらない ページ38
酒癖の続きです。
「おはよう池田くん」
先週のことは覚えていませんよ。と言うようにいつもと何ら変わることのない挨拶をするのは俺の可愛い同僚。先週のことというのは酒に酔ったAを自宅まで送るときに、Aが勢いでキスをせがんできたこと、そして俺が勢いで頬にキスをしたことだ。
俺もいつもと変わることのない声量でAに「おお、Aおはよう‼」と返す。
「この前送ってくれてありがとね〜!」
思っていたのは束の間、そこでヒヤッとする。A、覚えてねぇよな?
しかし、そんなことは俺の杞憂に過ぎず、Aのことを見つめ返せば可愛らしく「なぁに?」と返してくるだけだ。
あいつが何も覚えてなければ問題はない。俺が多少恥ずかしいだけだ。
俺は、何とも無い振りをし、「おめぇ、呑みすぎは善くねぇぞ〜?」なんて冗談も交えつつ返す。
確かにあの出来事からかれこれ数日経つのに、Aの本心を思わぬ形で聞けたことの余韻が抜けきらず、時々訳もなく赤面してしまうことがあるが、問題はない。
また、思い出すだけでにやけそうな表情を手で覆うと、一つの考えが過った。
───もしあれが酔った勢いで言ってしまったことだったら?あのとき俺にキスをせがんだのも、ただのめんどくさい酒癖のせいでふざけようとしてただけかもしれない。それこそただの受け取りかたの違いであって、本当は俺のことなんか好きじゃないかも……あぁっ‼もうめんどくせぇ‼
どうせ何時かは告白するつもりだったんだ‼おれだって男だ!決めるときはちゃんと決めてやるよ!
……まぁ、例の通り、数日前の夜には決まらなかったんだけどな。
特に事もなく時は過ぎる。
……予定でいた。今夜は生放送でもしようかな、なんて思っていた。
単刀直入に言えば残業になったということ。他に言うならAも一緒に残るということ。
はあ、と溜め息を吐き、日も隠れ、暗くなったオフィス。俺はモニターに向かう。
一つ机を挟んだ隣には俺と一緒に残った資料を纏めるA。俺と同じようにモニターに向かい、キーボードを打ち叩く。
「……池田くん。」
カタカタと音の響くオフィスの中に、Aの声が重なった。
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すみれ。(プロフ) - 終わってしまって悲しい…(´・ω・`) (2019年10月4日 20時) (レス) id: d26d96fde9 (このIDを非表示/違反報告)
健全おにゃのこ(プロフ) - ケイトさん» 具体的に教えてくださってありがとうございます!通常運転(のろま更新)で無理せず、できるだけ早めに更新していきます。お心遣いありがとうございます!次回の更新もよろしくお願いいたします! (2018年8月25日 17時) (レス) id: 9c387fdd9b (このIDを非表示/違反報告)
ケイト(プロフ) - 健全おにゃのこさん» にどみさんや愛の戦士さん…ですかね。あ、でも無理はなさらないでくださいね! (2018年8月25日 17時) (レス) id: ed348d41d4 (このIDを非表示/違反報告)
健全おにゃのこ(プロフ) - コメントありがとうございます!混ぜメンですね!了解でございます!混ぜメンのどの方がよいとかはありますでしょうか? (2018年8月25日 17時) (レス) id: 9c387fdd9b (このIDを非表示/違反報告)
ケイト(プロフ) - お知らせ読ませていただきました!もしよろしければ混ぜメンの男性メンバーの方々から選んで頂ければと思います。いつも応援しています。頑張ってください! (2018年8月25日 17時) (レス) id: ed348d41d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2017年4月7日 20時