【ゲーム実況者】貴方と私と日常。“短編集”

zz/酒癖 ページ26

上司「池田くんってAさんと仲良かったよね？」



「だから、家まで送ってあげてよ」と付け足し、女性上司が困った笑みを浮かべてこれほどまでに無いほど顔を赤らめ、酔っ払ってしまった同僚を俺の肩へ預けた。


ズ「いや、まあ、仲は良いっすけど………」


そこで口ごもる。送ってやることが嫌なわけではない。それでも送りたくないと思う理由なんて簡単だ。こいつ酔うとめんどくせぇんだよ‼まぁ、俺も人の事言えねぇけどさ!!!!!


俺はAを肩に乗せたまま、上司に素直に断る。しかし、Aが酔うと面倒くさくなることは俺以外の人間も知っているようで、上司はどうしても、と顔の前で手を合わせる。



上司「お願い！私と池田くんの仲じゃない‼」


困った笑みから貼り付けたような笑みに変わる上司。くっそぉ……この人、俺が実況やってるのを餌に使いやがって……




はぁっ、と大きく息を吐き、



ズ「わかりましたよ……ほら、A帰るよ？」


Aの肩を優しく揺するとんえぇ？と言いながら目を開ける。


「なぁんだぁ、いっけだくんじゃあ〜ん‼」


先程まで可愛らしく肩に寄りかかっていたのが嘘みたいにテンションが高揚している。


ズ「あぁ、はいはい、帰るよ…」


今日、車で来なければ良かったと後悔をする帰り道。



千鳥足のAを支えながらパーキングまで歩く。



A、いつもよりは静かだな、と思っていたとき、ふとAがこんなことを言い出す。


「んへへへ〜♪いけだくん、ちゅーしよーよ〜♪」


ズ「は⁉お前バカじゃないの⁉」



俺だって酔えばキス魔にはなるけれども！異性には言わねえよ！異性には!!!!!あと俺も酔ってねえからノれねぇよ!!!!!付き合ってなければもっとノれねぇよ!!!!!細かく言えば同僚だから一番ノれねぇよ!!!!!


「ええぇ〜？？しないのー？」


コートの袖を小さな手でぎゅっと掴み、○んだ瞳で、上目遣いで尋ねてくる。反則だわ…


ズ「しねぇよ‼」


語感を近所迷惑にならない程度に強めて断る。



炎上するわ‼そうじゃなくてもキスなんてしねぇわ‼もう、本当にこいつは面倒だ、心臓にも悪いしよぉ……



「いけだっちぃ〜？しよ〜？」


今度は腕に手を回し顔を擦り寄せてくる。こいつ……いつにもまして大胆に立ち回るな……俺以外の男だったらなにされてるか分からねぇぞ……




だから心臓に悪いんだ…と心臓を押さえ、また、「ダメだって…」と言った。

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