びいだま【オリジナル】 (ページ19)

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俺は彼女を後ろから抱きしめた。
彼女は泣いた。
本当に申し訳なかった。
これが最後だ。
俺が栗田さんを好きだった証拠…

「…ごめん」

俺はそう呟いて、彼女の家を出た。

栗田さんの連絡先を消そうとした。
そしたら、俺は自分を殴りたくなった。

しばらく開いてなかった名前。
一つ、通知が来ていた。

メイ(強くなるよ。もう泣かない。

画面に滴が落ちた。
次々と落ちていく。

俺は忘れていた。あの「約束」。
どれだけ嫌な思いをさせていただろう。
俺から結んだ約束なのに…
最低だ。
俺だけ幸せになって。
彼女に会いたい。
話がしたい。

電話をかけた。

ブーーーッ、ブーーーッ

ブーーーッ、ブーーーッ

「はい、もしもし…」

「俺だよ、ソラ。」

「ソラくん…？あ、私メイの母です。お友達？」

「ああ、そうです。メイさんはいますか？」

「メイね、実は交通事故に遭って…」

「えっ？」

「今意識がないの…。」

「どこですか？どこの病院ですか？」

「…っ、…うっ…」

お母さんの嗚咽で分からない。

「あの…」

「…っ、ごめんね…っ」

そこで電話は切れた。
これじゃ、分からない。
彼女に何があったんだ？
意識がない…彼女はどうなるんだ？

俺は、どうすればいいのか…？