最愛 (ページ3)

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ヒーロー(2) ページ3

掴まれた腕に驚き

A:あの、本当に困ります

腕を抜こうにも、強く握られ中々抜けない
抜けないと言うか痛いぐらいだ

孝弘:ご飯だけだから

と、腕を掴んだまま歩きだそうとする

A:離してください！

引っ張られるように歩いていると

男:女性が嫌がってますよ！

と、違う腕が伸びてきた

孝弘:は？嫌がってなんかないし、お前にも関係ないし

男:嫌がってるのも分からないんじゃ、好意なんてもってもらえる訳がない

伸びてきた腕の男性を見ると

上下のジャージで、フードを深く被っていて顔ははっきりとは見えない

孝弘:お前の方がよっぽど変だよ！

と言われている

男:僕が変なのはいいです。でも、嫌がっている女性を無理矢理に連れていくのはよくないです。

確かに一見、黒の上下のジャージでフードを深く被り、表情も見えない男性のが変には見えるが
走っていたのだろうか
シューズもランニングシューズだし、ジャージとは言え、背ははるかに坊っちゃんより高く、ほどよく鍛えられてるんだろうなって分かるぐらいにスタイルがいい

男:とりあえず、女性の腕を離してあげてください。痛そうですから

と、声をあらげるわけでもなく話す

孝弘:関係ないやつは、ひっこんでろよ

と、男性を無視しまた私をひっぱりながら歩きだそうとする

A:あっ！

急に歩き始めるので、掴まれてる腕は余計に痛みを増す

男:嫌がってるだろ！！

男性が無理矢理、掴まれている腕を離す

孝弘:おい！お前！

男:男は女性を守るもんだろ！傷つけるものじゃない！好きな相手なら余計にだろうが！

こんな私達のやり取りに、周りを歩いていた人達も何事かと足を止め見てくる

さすがにそんな状況に坊っちゃんは気まずくなったのか

孝弘:いや…無理矢理になんて…Aさん、また今度で

と、周りの目を気にし、逃げるように立ち去っていった

男:大丈夫ですか？

と、そんな私をよそに、助けてくれた男性は掴まれていた腕を取り

男:赤く跡になってます…痛くないですか？

と…声をかけてきた

A:大丈夫です！本当助かりました！ありがとうございます。

男:気を付けてください。本当に困ってるなら警察にも相談をしたり

と、見ず知らずの私を本気で心配してくれる

お礼をと名前を聞くにも、気にしないでと教えてくれないから

自動販売だったが、コーヒーを買い、お礼を何度も伝え、また走り出した男性を見送った

世の中ヒーローって本当いるんだなって思ってしまった