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お辞儀をして、イデアさんから離れようとしたのだけれど、振り返った私は一歩も動けずにいた。
それは、離したはずの左手が相手の右手に引っかかっていたから。
「…あ、ごめん」
「いいえ、まだ何かあるのかしら？」
首を傾げると、不安げに金色が揺れていた。
「こ、この後も……踊るの？」
「いいえ。ダンスはもう疲れちゃったので」
そう答えると、ホールの端へとエスコートしてもらった。
広間の中央を舞台とするなら、その舞台袖の部分まで下がると、アップテンポな曲が流れ出した。
楽しい曲は好きだけれど、自分が踊るとなると別ね。
昔は踊る方が好きだったけれど。
色とりどりの花が咲いたような広間中央を、ボーッと見ていると、イデアさんが話しかけてきた。
「他の人とは踊らなくてよかったの、」
壁によりかかって、自分の靴のつま先を見ながらイデアさんは問う。
よく見ると、私の周りにいる大人が顔を顰めて私たちをチラチラ見ているようだった。
「……今日は私の好きにしても良いって、許可が出たから好きにしたまでよ。咎められる謂れは無いわ」
「気にならないの、ほら……」
「全く気にならないわけではないのだけれど、でも、私の家って大きいから。なんとかなるんじゃないかしら」
あんだけ騒ぎを起こしたのにも関わらず、私が死ぬまで家には一切の被害は出てなかったそうだし。
これくらいは平気でしょ。
「もしかして、イデアさんは気になる？」
「や、別に…」
「あ、言いましたね？全力で巻き込んで差し上げますわ！」
「は！？ちょっと！？」
自分がヒールを履いているのも忘れて、イデアさんの腕を引っ張った。
ダンスの時とは逆の立場で、ちぐはぐで愉快。
人が多くてはぐれやすいから、指もからませて。
僅かな隙間を縫って通り抜ける時、みんなはダンスに夢中だったから、誰も私たちを気にも止めていなかった。
だからなのか、いっとう不思議で、透明になった気分。
息が詰まる人の海を抜けて出た先は、ガラスで出来た大きな扉。
両開きのそこを押して入れば、温まった体に涼しくて心地よい風がすれ違う。
「い、いきなり走らないで……！！」
「あ、ごめんなさい」
肩で息をするイデアさんの背中をさする。
心做しか頭の炎もしおしおしてるような……。
その時、視界の横で何かが通り過ぎた。
「……！イデアさん！あれ、見て！！」
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あさき(プロフ) - 好きな作品に出会っちゃいました (9月14日 19時) (
レス) @page14 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
マナ石(プロフ) - チョコ狐さん» ご指摘ありがとうございます^^*修正しました (2021年2月7日 23時) (レス) id: 3b7a3734b9 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ狐 - あのぉ、5のところの今になってはくことができてとこも嬉しいのところ、「吐くこと」ではなく「履くこと」、ではないですかね？間違っていたらごめんなさい。好きです！ころからも頑張ってください！ (2021年2月3日 22時) (レス) id: fa7ecfc75a (このIDを非表示/違反報告)
マナ石(プロフ) - マザーグースさん» 誤字の報告ありがとうございます^^*早速修正してきます (2021年1月29日 0時) (レス) id: 3b7a3734b9 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - 12のジェイドの台詞、「シェイド家」のところが「ジェイド家」になってますよ(ｺｿｯ)。面白いです、更新頑張ってください！ (2021年1月29日 0時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マナ石 | 作成日時：2021年1月13日 23時
