可愛くなる魔法 (ページ19)

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門出ページ19

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あれから1週間悩みに悩んで、昨晩姉鷲さんに連絡を入れると早速明日来るように言われ、今私は八乙女事務所の前に佇んでいる。

そして、緊張で冷や汗をかいてる私は周りから見れば不審者だ。

「あら？こんなとこで突っ立ってないで早く入りなさい」

ハッと振り返ると姉鷲さんが立っていた。

「様子を見に来てよかったわ」

「ご無沙汰してます」

「さっ、こっちよ。着いてらっしゃい」

「はい」

姉鷲さんに着いて行きながら前髪を手で整える。

前髪の巻き方やメイクの仕方など1週間ずっと携帯と睨めっこをしながら勉強した‥

けど、変なとこはないだろうか。

「この前のヴィックとは変えたのね」

「ちょっと目立つので」

あれから新調したヴィックは綺麗な栗色をしたヴィック。早く自分の髪の毛が伸びてほしい限りだけど。

コンコンッ

「社長。入ります」

「あぁ、入ってくれ」

「し、失礼します」

中に入ると少し怖そうな社長が座っていた。

「君が花丘Aさんか。話は姉鷲から聞いている。連絡をくれたってことはうちに来る覚悟ができたということでいいのか？」

「初めまして。花丘Aです。八乙女事務所で色々とご指導いただけませんか」

「君の実力は知っている。うちとしても大歓迎だ」

「本当ですか」

「あぁ。色々考えることは山ほどだが」

そう言われて、思わず俯く。

今の私は花丘プロや本当は女の子だったという事実、色々抱えすぎている。
こんなお荷物を本当に受け入れてくれるのだろうか。

唇を噛むと姉鷲さんの手が肩にのる。

「ま、そんな問題うちにとっては屁でもないわよ」

「え‥」

「問題と言っても君がどうしたいかだ。その性別のことは公表するのかしないのか。花丘の名前はそのまま使うのか使わないのか」

「‥女だったことはちゃんと言いたいです」

「ほう」

「ちゃんと伝えて裏切った分だけ新しい私で信頼を取り戻したいです」

「‥。いいだろう。うまく回してやる」

「花丘の名前は‥。多分許してはもらえないので使いたくはないです‥」

「姉鷲貸してあげるわよ」

「名前を何にするかはまた考えよう。姉鷲手続きを進めておいてくれ」

「私の発言はスルーなんですね社長。手続きは進めます」