可愛くなる魔法 (ページ16)

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そう言って私の背中を押すとキラキラした女の子の好きを詰め込んだような部屋に通される。

「元がいいんだからメイクしたらうんと可愛くなるわよ」

「お願いします」

数十分後、「こんなもんかしら」と言われ、目を開けると鏡に写っているのは自分とは思えない女の子。

ずっと憧れていたキラキラのメイク

「これ、私？」

「そうよ」

「姉鷺さん魔法使った？」

「ふふ、まぁそうね、軽～く使ったわ」

「すごい」

「ささっ！大神さんに見せてみなさい」

入る時と同じように背中を押されて万さんの待つ部屋へ恐る恐る入ると雑誌から顔を上げた万さんと目が合う。

「‥！Aちゃんすごく可愛いよ」

「ほ、ほんと？」

「そりゃアタシの手にかかれば当たり前でしょ」

「姉鷺さんに頼んでよかったです」

姉鷺さんにお礼を言い、マンションを出る時、お祝いよ！と化粧品を頂いてしまった。

さらには、気が向いたら八乙女事務所も視野に入れて欲しいと名刺まで渡され、万さんには頭が上がらない。

「いやぁ結構買ったね」

「万さん、私も持つ！重いでしょ？靴もあるし‥」

「いいのいいの。女の子はこういうとき甘えておけばいいんだよ」

今日1日万さんは何度も女の子なんだって思わせてくれた。

これもきっと万さんの優しさなんだと思うとまた涙が出そう。

「そろそろ休憩しようか」

「うん！」

休憩しようと大通りに出ると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「万。いつから特定の女を作るようになったの？」

振り返るとそこには眼鏡を掛けた千ちゃんがいた。