可愛くなる魔法 (ページ12)

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「花っちまたな～」

「うん、またね。今日はお邪魔しました」

「IDOLiSH7の番組にも今度是非出てほしいな」

「機会があれば是非！」

「じゃあ、また」

2人に軽く手を振りながら次が本当にあるのかを考える。

ファンの子たちだけじゃなくて、こういう縁で知り合えた子たちも裏切ることになるんだ。

コンコンッ

「どうぞ。忙しいから手短に頼むわよ」

いつからか親子の会話はなくなった。

だけど、この人に話さなければ前には進めない。

「今日は娘として来たの」

「はぁ？」

明らかに不機嫌な顔になるお母さん。

昔はこの顔を見たくなくて自分を殺してたっけ。

「ふざけたこと言うのはやめてよ」

「私、女の子としてアイドルをしたい。千秋としてはもう嫌」

静まり帰った部屋にお母さんの溜息が響いた。

覚悟を決めて来たのに顔色を伺ってしまうのは悪い癖だ。

「何を言い出すかと思えば、馬鹿なこと言ってないでさっさと稽古に行ってちょうだい」

「馬鹿なことじゃない！本気なの！」

「今が大事な時期だってわかってて言ってるの？じゃあ、あんたはグループを捨てるってわけね？」

「そういうことじゃ‥」

「そういうことでしょう。kkは今あんたのおかげでテレビ出演も増えてきたわ。そこであんたが抜けたらどうなるかわかる？」

「でもっ、みんなの実力だったら私がいなくたってっ」

「あんなの使い捨ての駒よ。そろそろ2人メンバーチェンジする予定だったもの」

「っ！アイドルはお母さんのモノじゃない！私は1人の女の子として扱われたい！モノじゃないから！」

頭に血が上り大きな声で叫ぶように言葉を発するとお母さんの資料をみていた目がやっとこちらを向いた。

そしてーー。

パシンッ

頬がじんとする

「っ！！！」

「馬鹿な子。そんな子に育てた覚えはないんだけど。まぁいいわ。言うこと聞けないなら花丘の名前も捨てなさい。」

「え‥」

「兄も馬鹿なら影武者してた妹も馬鹿ね」

「とりあえず用が済んだなら出てって頂戴」

そう言って追い出された私は自由になった。