現実世界は一度きり【茅ヶ崎至】 (ページ8)

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第8話ページ8

至 side

咲也と出て行く綴の幼馴染を見て息を吐く。

これは絶対に覚えてないやつな。まぁ、いいけど。

遡ること1週間前の週末無理矢理上司に連れて行かれた飲み会を一次会で抜け、土日に引きこもるための食料を買いにコンビニに寄るとしゃがみ込んでいる女の子がいた。

うわ～～～と顔を顰めながらコンビニで買い物を済ませ帰ろうとするとまだしゃがみ込んでる女の子。

いや、もうすぐ日付け超えるけど‥。

普段なら絶対に面倒事には首を突っ込まないけどあの寮に住んでから絆されたかな、気づいたら声をかけてた。

至「ちょっと、こんなとこで危ないよ」

俺の声にも反応しないところをみて飲み過ぎか。

「ゔっ」

至「は？ちょっ」

間一髪で体内に収めた彼女はまたぐでんとしている。

この人本当家帰れるの？面倒も面倒すぎることに首突っこんだかも、と後悔しているところで女の子の携帯が鳴った。

ここで電話してきた人に託せばいいんじゃ？と思いセクハラじゃありません。
これは非常事態です、と心で呟きながらポケットから携帯を出す。

ーーーー皆木綴

え、まさか。どんな縁だよ、と思いつつ電話を取るといつも聞いている声が聞こえてきた。

綴「あ、もしもし？」

こんな形で綴の女関係を知ることになるとは‥。

コホン

至「あ、俺俺」

綴「そんな俺俺詐欺まがいなことをする人間は知らないです」

至「まって、綴俺被害者だから」

綴「え、至さん？」