現実世界は一度きり【茅ヶ崎至】 (ページ4)

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第4話ページ4

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最近自分が踊るよりも教える方が増えた。

平日の夕方はほとんど高校生をみてあげていて、昼間や土日は紹介してもらった劇団で振付師として働いている。

休みは決まってないし少ないけれどすごい充実してる。

たまに私も現役でもっとたくさん舞台に立って踊りたい。とは思うけれど、

「はい！とりあえず10分休憩ね！」

「Aちゃん～ここのステップが出来ないの」

「そこいつもぎこちなくなっちゃってるもんね、おっけい！教えるけどとりあえず一口でも水飲んでからね！熱中症で倒れるよ」

「は～い」

「Aちゃん私も教えてほしいところある！」

「はいよ～休憩明けちょこっとフリーにしよっか」

そう言ってレッスン室を出て廊下を歩く。

こんな私でもこうやって尊敬してくれたりするのは本当に幸せで頑張ろうって活力になっているのは確かだ。

咲「あれ？Aさん？」

名前を呼ばれて振り返ると人懐っこい笑顔で首を傾げる男の子がいた。

「えーっと、‥咲也くんだ！！！」

咲「わぁ覚えててくれたんですね」

「制服だし一瞬わかんなかったよ！わ～今日も可愛いね咲也くん」

うりうりと頭を撫でる。

これで会うのが2回目なんて信じられない。

やめてくださいよ～とほっぺたを赤くしているのも可愛い。これ以上は何かに目覚めそうだからやめよう。

綴に縁を切られる。

咲「ところでなんでAさんがいるんですか？」

「あ、私名乗ることしかしてなかったもんね！ダンサー兼振付師してるから高校生教えてるの」

咲「ええええ！そうなんですか！すごいです！」

「大層なものじゃないよ、まだまだひよっこだけどね」

咲「それでもかっこいいです！」

この子は天使なのかな！？抱きしめたい！抱きしめたいけど、くっそ～～学校ではダメだ！！！と拳を握りしめて耐える。

「そろそろ行かないと！！！！咲也くんまたね！！！」

頑張って下さいね、と笑顔で手を振る咲也くんに見送られやる気MAXの私のレッスンは暗くなるまで続いた。